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「環境変化は認識した」と今期好収益計画の田辺工業だが、予想PERは10倍以下
田辺工業(東証スタンダード)。化学プラントを主体とする、中堅プラント事業を展開している。独立系。
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企業の持味は色々の面に現れるが、田辺工業の慎重さを、前2024年3月期決算に改めて感じた(事業環境を読み切れなかったという批判もあろうが)。「9.4%の増収、25%の営業減益、21%の最終減益、40円配」の計画で進んできたが、期末の決算時点に至り「20.7%増収(518億4200万円)、2.0%営業減益(26億7700万円)、14.5%最終増益(18億9500万円)、5円増配45円配」に上方修正した。
その理由を「懸念していた工事資材の長納期化や物資不足の影響が限定的だった。工事の施工は想定以上に順調に推移した。大型工事案件の一部に工事損失や工事損失引当金を計上したことから、利益率は低下したが売上増効果で利益は予想を上回った」と説明した。整然としているというか、「期中動向の推移からそうした流れを読み取れなかったのか」という思いが拮抗する。
そして今3月期は環境変化を勘案したように「0.3%の増収(520億円)、12.0%の営業増益(30億円)、5.5%の最終増益(20億円)、10円増配60円配」反転計画。
田辺工業の守備範囲は広範にわたる。太陽光発電などもその範疇。2014年に3メガワットの発電所を建設。自社運用しながら「太陽光発電プラント」事業も3カ所で展開している。
「各種プラントのEPC(設計・調達・建設)の深掘り・拡幅が当社の主軸」と四月朔日(わたぬき)義雄会長、水沢文雄社長も口を揃える。独立系として勝ち残るためには「引き合い/基本設計/詳細設計/調達/施工/各種検査転/引き渡し/メンテナンス」での精巧さが不可欠。そのためには、従業員の教育の如何が問題となる。ホームページにその点は子細が記されているのでご一読頂きたい。
そうした体制を順次整備しながら半世紀以上の歴史を積み重ねてきたが、冒頭に記したように時流:環境変化への対応は決して容易ではない。「今期は環境変化を確認・勘案して」発信した計画、「幕張エンジセンターでの電気設計の増強によるEPC強化」などの材料も伝えられているが株価の反応はどうか。
本稿作成中の時価は1800円台入り口、予想税引き後配当利回り2.6%強。年初来安値1276円(2月)から同高値1921円(7月)まで買い直された後の調整場面。が時価の予想PER9.5倍、PBR0.84倍は、人気うすを示している。ただ過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは4倍強。迷いを覚えさせられるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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