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就職氷河期の幸い?で中野智哉氏が起業したi-plugの今
i-plug(東証グロース。以下、アイプラグ)が前2024年3月期、期初予想:7900万円を上回る1億3900万円の営業黒字復活を果たした。今期計画も「22.5%増収(56億4000万円)、294.3%営業増益(5億5000)」戻り基調を鮮明にした。
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23年3月期の「営業損失4億1100万円」はそもそも、事業拡大に備えた「社員増員・プロモーション関連投資・M&A」や「新規事業開始」コストに伴う営業損失に起因するものだった。
アイプラグの主軸は新卒支援の「OfferBox」の運営。OfferBoxは一口で言うと「ダイレクトリクルーティングサービス」。
企業は学生からのエントリーを待つのではなく、学生が登録したプロフィール情報をもとに「会いたい学生」を検索し直接オファーを送る。受け取ったオファーを学生は「承認」or「辞退」を選択。承認の場合、企業と学生の間でメッセージの遣り取りが可能になる。これが、基本形。
そしてここにきて「再オファー機能」の枠組みが加わった。学生がオファーを辞退or自動取消となってから45日以上が経過した場合には、再オファーができる。アイプラグでは「再オファー制」を、こう語っている。
「当社が(22年)3月に行った調査でも『今後どのような視点で企業選びの幅を広げるか』という問いに対し70%近い学生が「業界」「職種」「企業規模」とした。就活を続ける中で企業選びの軸に変化が生じたとき、企業からの再オファーを可能にすることで学生と企業の幅広い出会いの機会を創出するため」としている。
本稿作成中の時価は1300円台半ば。5月2日の年初来安値1100円に対し今期計画の開示(13日)と同時に急伸、15日には1560円まで買い進まれた後の調整場面。今期計画の動向を確認しつつ付き合うのが賢明・・・
アイプラグは現社長の中野智哉氏により、2012年に設立された。中野氏はいわゆる「就職氷河期」に大学を卒業。なんとか就職先は得たが、間もなくリーマンショック。会社側からは『早く帰るように』という指示。がこれが中野氏をして「幼いころからの夢だった」経営者への道を開いたのだから、まさに因縁。
空いた時間を活かし、グロービス経営大学院に学んだ。同級生は上場企業の管理職クラス。「この人たちは、まだ学ぼうというのか」と驚いた。話を交わすと、人間的にも魅力たっぷり。刺激され、一心不乱に学んだ。MBAを取得。「夢」だった経営者の道に、足を踏み込んだ。
人材紹介業。当初は、徒労の日々の連続。そんな中で「突如、アイディアが天から降ってきた」。オファーボックスのビジネスモデル。それまでにない枠組みだけに、認識は拡がった。登録企業数約50社/登録学生数1300人余。がいざ蓋を開けると、オファーを出す企業もプロフィールを入力する学生も僅か。
中野氏は「突破口が開かれるにはビジネスモデルの改善もあるが、時代の変革に恵まれたことも大きかった」と、具体的に「変革」を指折り数えた。そのうえで、「コクヨ(文具メーカー)の積極策が燎原の火に・・・」ともした。
公開価格2620円に対し上場初値(21年3月18日)は6000円。市場の大きな期待を背負って株式市場に登場したアイプラグの真価が問われるのは、ここからか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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