英語と文化の交差点:イギリスで人気のパブの名前トップ5

2024年4月18日 11:27

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 前回も少し触れたように、イギリスのパブはその土地の歴史や文化に深く根ざしている。パブの名前一つ取ってもそれは明らかだ。特に、人気のあるパブの名前は、イギリスの王室や伝統、自然との関連が深い。

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 今回は、イギリスで人気のパブの名前トップ5を取り上げ、その背景に隠された意味や歴史を探ってみよう。

■Red Lion

 1位の「Red Lion」とは、勇敢さと王室の権威を象徴するライオンを指す。この名を冠するパブはイギリス全土に広く存在する。

 中世の紋章によく見られる赤いライオンから来ており、しばしば戦闘での勇気や王族の保護を表す。イギリスの紋章や旗でもおなじみのキャラクターで、パブの名前としても非常にポピュラーだ。

■The Crown

 2位は「The Crown」だ。同名のドラマでもおなじみのように、「王冠」を意味し、王室への敬意やつながりを象徴している。また、国の重大な出来事を記念して名付けられることも多い。地域社会において集会の場として機能するイメージだ。

■Royal Oak

 「Royal Oak(ロイヤル・オーク)」とは、チャールズ2世がオリバー・クロムウェルの軍から逃れる際に、オークの木に隠れたという伝説から来ている。この出来事は、王室支持者(ロイヤリスト)たちによって英雄的な抵抗として語り継がれ、チャールズ2世がその後復位する過程で象徴的な意味を持つようになった。

 「Royal Oak」という名前のパブは、その地域で王室への忠誠や歴史に対する尊敬を象徴する場所と見なされることもある。ただ、政治的な意図というより、単にこの歴史的な逸話を称えるために名付けられたところが多いのだろう。

■White Hart

 「White Hart(ホワイト・ハート)」とは白い雄鹿を意味し、古英語で高貴な動物とされていた。リチャード2世の紋章にも白い鹿が描かれており、王権と純潔を象徴する意味合いが込められている。そうした逸話にちなんで、今でも多くのパブに採用されている名前だ。

■The Plough(ザ・プラウ)

 第5位は「The Plough」だ。「Plough(プラウ)」とは農業道具の鋤をのことで、農業が盛んな地域の生活や文化を反映している。

 おそらくこの名前のパブは、その地域の農業基盤を反映し、地元住民が交流するための社交の場としてもともと機能していたのだろう。今でも地域の歴史や伝統が感じられる、地元住民にとって親しみやすい名前である。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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