ERPで時代を映す、好収益:ビジネスエンジニアリングに中長期投資の魅力を覚えるが!?

2024年3月24日 16:00

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 ビジネスエンジニアリング(東証プライム。以下、ビーエンジ)。自社製ERP「MCフレーム」と、ドイツSAPからの導入案件によるERPの展開が主軸。ERPは一口でいうと「人・物・金に係るバックオフィスの効率化・合理化を図るシステム」。DX化の牽引に不可欠。

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 ビーエンジが時代に求められる企業であることは、収益動向に顕著。2020年3月期から今期計画までの5期間の平均増収率は4.8%強、平均営業増益率は27.5%強。

 今期計画は前期末想定を、第1四半期早々にまず中間期予想を上方修正。そして昨年11月10日には通期を「2.7%増収(190億円)、17.1%営業増益(38億円)、最終増益(25億5000万円)、12円増配76円配」に修正した。専務取締役CFOの別納成明氏は、「MCフレームの伸びが想定以上なのが主因」とした。

 だがそうした状況は決して「嬉しい誤算」ではない。至2027年3月期中計を見直している。
 「営業利益32億円、純益21億1000万円」を「48億円、32億円」に。別納氏は「当初目標を23年3月期で、前倒しで達成したため」とした。「時流に乗った伸長」を痛感させられる。

 またこれも時の流れを背景とした結果と捉えることも出来るが、MCフレームの現時点のパートナー企業は53社。53社との取引契約は「初期投資+ライセンス保証料」。ストックが積みあがる枠組みとなっている。

 ビーエンジはそもそも、2000年に東洋エンジニアリングの社内分社として立ち上がった。ドイツのSAPとの出会い・提携が現業の入り口となった。

 当初は東洋エンジニア・図研(電気系CAD・EDAベンダー)・野村證券グループ企業の3社が大株主。が今は図研(21%余の持ち株比率)が筆頭株主。他の2社は既に持ち株を売却。「筆頭株主の意向は経営にも影響するのではないか」という問いかけに別納氏は、「筆頭株主であり業務上も良好な関係を維持」と語った。

 が取材当日のビーエンジ株の予想PER18.3倍水準。伸長企業の株式としては、いささか物足りなさを覚えた。別納氏も「20倍水準を望んでいる」とした。そのためには、より広範な投資家層に食指を動かせることが不可欠。それには図研をはじめとする特定株比率63%は重い。今後の課題と考える。

 本稿作成時の時価は4000円弱。1月の4730円からの調整場面。予想税引き後配当利回り1.6%弱。「課題」をしばらく脇に置くと、押し目買い姿勢で向かうのも一法だが・・・過去10年間の株価動向は調整済み株価パフォーマンス5.7倍強。課題と取り組むことを前提にすれば、個人投資家の中長期投資にも妙味があろう・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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