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「waffle」と「wangle」とは? イギリス英語のスラング特集 (30)
イギリス英語のスラング、今回は、「waffle」と「wangle」の2つを紹介する。前者は目的もなく長々と話す行為を、後者は巧みな手段や時には不正を用いて目的を達成する行為を指す言葉だ。これら2つのスラングの起源や意味、使用例を示し、どのようにコミュニケーションの文脈で活用されているかを明らかにしたい。
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■Waffle
イギリス英語のスラングでは、「waffle」は「意味のないことを言う」、「無駄口を叩く」、「曖昧なことを言う」といった意味の動詞である。具体的な内容を話さずに、ふわふわした言葉で覆い隠す行為を指す。お菓子のワッフルと同じ綴りだが、それと直接の関係はない。
お菓子のワッフルは、オランダ語で「蜂の巣」を意味する「wafel」という言葉が由来だが、イギリス英語のスラングの「waffle」は、スコットランド語の「waff」や古英語の「wæflian」などから派生したと考えられている。語源については複数の説があるが、揺れ動くような動作に関連した語から発展したとする説が有力だ。
「waffle」は、誰かがはっきりとした意見を持たずに、思いついたままとりとめもなく話す様子を示す際によく使われる。基本は話し言葉だが、書き言葉として用いられるケースも少なくない。特に、立場が不明確な政治家を非難する際などによく見かける表現だ。
・He's just waffling on about something, I can't even understand what he's trying to say.
(彼は何かについてただぼんやりと話しているだけで、何を言おうとしているのか、さっぱりわからない)
・During the debate, the politician was accused of waffling on the important issues.
(討論の最中、その政治家は重要な問題に対して曖昧に話すだけで何も言っていないと非難された)
上記の例文のように、おもに「waffle on」の形で使われる。「on」の後には名詞や代名詞などの話の主題が続くのが一般的だが、「waffling on about something」のように「about」を使うことも多い。
■Wangle
「wangle」とは、巧妙な手段や、時には詐欺的な手法を用いて何かを得たり、自分に都合よく操作したりすることを指す動詞だ。
このスラングは、機知と能力を要する行為に対する称賛の意味で使われることもあるが、人をだましたり、物事を自分に都合のいいように操作したりする側面が強く、しばしば批判的な文脈で使われる。
この言葉の起源は、1880年代のイギリスの印刷業界にさかのぼるとされている。当時の印刷業者たちは、自分たちのスキルを使って写真を偽造し、別のもののように見せかけることを「wangle」と呼んでいた。その伝統は今にも受け継がれており、セレブなどが実際より美しく見せようと加工アプリ等で加工した写真について、しばしばこの言葉で揶揄することがある。
20世紀に入るともっと広い意味で使用されるようになり、価格操作などある種の詐欺や恣意的な操作を指すスラングとして、イギリスだけでなくアメリカにも広がった。今では、日常会話からビジネスやマーケティングの文脈まで幅広く、巧妙な手法や詐欺的な行動を表現する際に用いられている。
・She wangled her way into getting a promotion by flattering her boss constantly.
(彼女は上司にへつらい続けることでうまいこと昇進した)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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