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家族信託のファミトラ、大和証券と提携 成長拡大を加速へ
家族信託のイメージ(画像:ファミトラの発表資料より)[写真拡大]
家族信託サービス「ファミトラ」を展開しているファミトラは8日、大和証券と業務提携契約を締結したと発表した。提携に基づき、2月5日より大和証券の顧客向けに特別価格でのサービス提供を開始している。
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ファミトラは、2021年12月にシリーズAラウンドで総額14億円の資金調達後、生命保険会社や事業会社など複数社と業務提携を締結。証券会社では、野村証券に次いで今回2社目となる。
家族信託は、判断能力があるうちに財産を家族に託す仕組みだ。2006年の信託法改正により、超高齢化社会の財産管理手法として使えるようになった。財産所有者が認知症を患ったなどで本人の意向が証明できない場合、通常では資産が凍結されるがそれを防ぐ。
財産管理や医療・介護契約などの身上監護を行う、成年後見人制度は以前から存在する。ただ、資産運用など財産の活用はできず、毎月の報酬支払いが必要で、基本的には第三者が選任されるという制約があった。
家族信託では、財産所有者(委託者)が家族(受託者)に預金や有価証券、不動産などの財産の管理・処分を託す。託された財産は運用でき、売買や賃貸などが可能。受益者は基本的に委託者が兼任するため、利益は委託者本人が受け取れる。信託報酬の支払い義務はなく、受託者を複数人設けることも可能。ただし身上監護の機能はない。
2025年には高齢者の約5人に1人が認知症患者になるという厚生労働省の推計もあり、リスクに備える制度として注目されている。
ファミトラは、テクノロジーで高齢化社会に資するAgeTech企業として、19年11月に創業。家族信託サービスを軸に事業を展開してきた。信託組成の提案と信託状況の監視・支援とする信託監督人サービスを提供しており、価格を抑えたプラン設計が特徴だ。
21年1月にはCoral Capitalなど3社から2.2億円を調達。同年4月には常陽銀行と事業提携を結び、銀行顧客向けに初めてサービスを提供、それを皮切りに数社と提携を行った。そして21年12月、Eight Roads Ventures Japan、DG Daiwa Venturesなど複数社から総額14億円を調達。以降、開発・体制強化を図りながら連携施策を加速させている。
22年には、東京海上日動あんしん生命やかんぽ生命などでサービス提供を開始。23年3月には日本航空と提携し、JALマイレージバンクの会員向けサービスとして展開を始めた。同年には、メットライフ生命や野村證券、明治安田生命などとも提携している。
24年1月にはさらに7億円を調達し、累計約24億円を獲得。同月、東京ガスとの提携を経て、今回の大和証券との業務提携に至った。サービスは、各社の顧客基盤に対して単体または各社商品と組み合わせて提供している。
2030年には認知症患者の保有金融資産が230兆円に達するという第一生命経済研究所の推計もある。ファミトラの今後の展開が注目される。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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