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丸亀製麵:トリドールHDの課題は海外展開ブランドの収益化、株価はエールを贈っている
トリドールホールディングス(東証プライム。以下、トリドールHD)。低価格うどん店「丸亀製麺」を中軸に、いまや内外に多様なブランドの飲食店1900余を展開している。
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トリドールHDの祖業が焼鳥屋だったことは承知していた。が丸亀製麺にその軸足を移した契機に関しては、「?」だった。最近になり、ようやく知った。
創業者でCEOの粟山貴也氏がこう公に語っていた。「讃岐うどんブームの頃だった。讃岐に縁があった父と讃岐うどんの店に出かけた。客の前でうどんを打ち、羽釜で湯がく。出来立てを客に出す。感動した。客は(自分がこれから食するものの)調理のシーンにも興味があるのか、と。商売の極意を見た感を覚えた」。飲食業界の大手格にのし上がったトリドールHDの原点を知った。
私がトリドールHDを興味深く見守ったのは「丸亀製麺1000店宣言」をし、「2011年にハワイに海外1号店を出した」時期だった。が2018年3月16日に「1000店達成」を高らかに発表した時点で「ステップの時期は終えたな」と、目を切った。
改めて今回、再度ウオッチをと考えた契機は「内外1900余の店舗」に達したトリドールHDのここ数期間の収益動向の「不安定さ」の何故を知りたかったからだ。
2021年3月期「13.9%減収、73億3600万円営業損失、54億1900万円最終赤字、8円減配4.5円配」はコロナウイルスのパンデミックに世界が襲われた時期であり、頷ける。22年3月期は「13.8%増収、142億4300万円営業黒字、92億4100万円最終黒字、3円増配7.5円配」と立ち直り傾向に転じた。が23年3月期は22.8%の増収も、「47.6%営業減益、51.8%の最終減益」。
実はこの期にトリドールHDは至28年3月期の中経を発信している。決算開示後のアナリスト説明会で中計に対し、質問が飛ぶことが予想される。想定質問に対する回答が準備された。こうある。
『海外事業:FC事業を拡大するに当たり現段階では直営店の運営・収益化モデル構築を優先、FCを厳選していることからFCの展開の進捗を見直し店舗数計画も引き下げた』。
今24年3月期は中間期開示と同時に通期計画を、「22.7%増収(2310億円)、33.9%営業増益(100億円)、27.9%最終増益(57億円)」に上方修正した。主因は内外丸亀製麺の好調。23年3月期でも既存店売上高は111.7%/今期も上半期を112.1%で通過している。が上方修正の理由説明書として用意した想定問答「Q2」に、「海外事業の利益率が低い理由と改善のための施策」が準備されていた。
「丸亀製麺ブランドを除く海外戦略が、未だ功を奏するに至っていない結果」が、昨今の収益動向に現れていると捉える。実現してトリドールHDは「ジャンプ」期入りする。
株価はトリドールHDに「頑張れ」のエール?を贈っている。本稿作成中の時価は4600円台終盤。1月の昨年来高値ゾーン。IFIS目標平均株価5000円。時価のパフォーマンスは過去10年間の調整済み株価ベースで5.6倍弱。海外戦略の進行を、見定めたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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