「smarmy」、「sozzled」とは? イギリス英語のスラング特集 (23)

2024年1月1日 11:27

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 今回も「S」から始まるイギリス英語のスラングを2つ紹介する。今回取り上げるのは最近の流行語や新語ではなく、どちらも100年以上の歴史のある由緒あるスラングだ。

【こちらも】「サボる」「疲れた」はスラングで何と言う? イギリス英語のスラング特集 (21)

■Smarmy

 「smarmy」を辞書で調べると、「ごますりの」、「お世辞たらたらの」、「媚びへつらう」、「おべんちゃらを言う」などの訳語が当てられている。しかし、これらはこのスラングのニュアンスを正しく言い表しているようには思えない。

 日本語で一言で表すことは難しいのだが、「smarmy」とは、どことなく信用できない、また、誠実そうに見えない人物のことを表す形容詞だ。口の上手いセールスマンや政治家を想像するとわかりやすいだろう。実際、イギリスでも、しばしば政治家を批判するときに用いられている。

 ・That politician is too smarmy for my liking; I just can't trust him.
 (あの政治家、うさんくさくて俺の好みじゃないな。信用ならねえ)

 「smarmy」の由来だが、1899年に発行されたロンドンの雑誌『The Academy』が初出であることがわかっている。この雑誌では「Literary Competitions」(文学的コンテスト)と題して読者から広く新語を募っていた。

 「smarmy」もそのなかから選ばれた新語の一つである。作者はブライトンのB.R.L.氏(本名は不明)とのことで、彼によると、「本当とは思えない甘い言葉を使う様子」を指す言葉として考えついたそうだ。

 このコンテストに限らず、これまで多数の新語が生まれ、定着することなく消えていった。そんななかで、現代まで生き残り日常会話に定着した「smarmy」は、非常に珍しく、また、興味深い例ではないだろうか。

■Sozzled

 イギリス英語には「酔っ払った」を意味するスラングが数多くあるが、この「sozzled」もそんなスラングの一つだ。19世紀後半から使用されているスラングで、一定以上の世代では非常に広く認知されている。

 「sozzled」は、もともと「sozzle」という19世紀前半に現れた動詞に由来する。これは「ぐちゃぐちゃに混ぜる」や「混乱させる」といった意味の動詞で、粗雑さや乱雑さ、無秩序などの概念に対して使われていた。そこから派生して、「sozzled」の形で「非常に酔っ払った」や「泥酔した」を意味するようになったと考えられる。

 ・He was so sozzled at the party that he danced on the table!
 (彼はパーティーでとても酔っ払って、テーブルの上で踊っていた!)

 この例文のように、「sozzled」はカジュアルな会話において、酒に酔って楽しい、あるいは困った状況を表現するのによく使われる。ただし、若い世代のなかには知らない人も増えているそうだ。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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