地域新聞社が新春に予定している「障害児放課後デイサービス」、株価の評価を切に望む

2023年12月26日 12:53

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 過去5期間の営業損益の推移は「2200万円/2億9200万円損失/5100万円損失/900万円/2000万円損失」。2023年8月期末の利益剰余金:マイナス3億5000万円、有利子負債4億6500万円:ROEマイナス31.3%。

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 地域新聞社(東証スタンダード)。千葉県・茨城県で無料情報紙の配布(ポスティング)を展開している。2県に週1回「ちいき新聞」を、173万1648部を届けている(2023年5月時点)。1つの地域を4万部ごとに分けて、40種類の地域情報メディアを発行している(同)。

 そんな地域新聞社の今2024年8月期の計画は「4.0%増収(30億4700万円)、1600万円の営業黒字転換、1200万円の純益計上」。久方ぶりの黒字化予想。

 私がそもそもその存在に惹かれたのは、ポスティング配布網を生かし各市町村と協力した「高齢者地域見守り隊」の活動だった。ちいき新聞の配布員が毎週訪問する際にいつもと違う「何か」に気づいた場合(ex通常の新聞やちいき新聞が溜まってしまっている)、すみやかに各市・行政団体に連絡することで必要な支援に繋げるという施策だ。1銭にもならない・・・

 が冒頭から記した様な状況では、「株式投資の対象」云々には繋がらない。本稿作成中の時価:365円は、約10年前の2014年初値に対し修正済み株価ベースで7%方下値にある点に象徴的。

 そんな地域新聞社の株価が12月1日に、急伸した。前日11月30日の終値は382円。対して12月1日には値幅制限いっぱいの462円で買い気配に。が終値は前日と同じ382円。

 決して、短期売買を否定するものではない。が・・・。この日の値動きは、11月30日の引け後に地域新聞社が発表した「来年3月の予定で放課後デイサービスを開始する」に起因した。詳細に記せば「障害のある小学生から高校生までの子供を対象に学校終了後や夏休みなどの学校休業日に預かり、将来の就労や自立に向けた支援を提供する施設の運営を計画しており、地域に根差している当社参画することで、安心して利用できる施設の運営を目指す」といった具合。

 語弊があるかもしれないが、どんな新聞も購読料だけでは経営は成り立たない。広告の受稿が必須。ちいき新聞ともなれば広告主も中小・零細企業が主となる。広告料に上限が伴う。
 そうした収益環境に新たな収益源を、という狙いが来春以降の計画に込められていることは間違いない。

 2015年に総務大臣賞として「ふるさとづくり大賞」を受賞している地域新聞社の収益構造の好転を、切に望みたい。それが実現した時、株価にも中長期スパンでの繁栄を期待したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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