ノーベル物理学賞、アト秒単位の光パルス作成を可能にした3氏が受賞

2023年10月5日 09:01

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記事提供元:スラド

headless 曰く、  2023 年ノーベル物理学賞は、米オハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ氏とドイツ・マックスプランク量子工学研究所のフェレンス・クラウス氏 (ハンガリー出身)、スウェーデン・ルンド大学のアンヌ・ルリエール氏 (フランス出身)が共同受賞した。授賞理由は物質内部の電子動力学を研究するため光のアト秒パルスを生成する実験的手法(プレスリリース一般向け解説詳細解説)。

アト秒 (100京分の1秒) 単位の速さで動く電子を観察するにはアト秒単位の光のパルスが必要となる。最も短い光のパルスはフェムト秒 (1,000 兆分の 1 秒) 単位だと長年考えられてきたが、3 氏の研究によりアト秒単位の光のパルスを作り出すことが可能となった。

ルリエール氏は 1987 年、希ガスを通して送られた赤外線レーザーが多数の異なる光の倍音を生むことを発見。これはレーザー光がガスの原子に作用して生まれるもので、一部の電子に与えられた余分なエネルギーが光として発せられる。ルリエール氏はこの現象の調査を継続し、その後のブレイクスルーの下地を作った。2001 年にはアゴスティーニ氏が長さ 250 アト秒の連続した光のパルスを作り出して調査することに成功しており、クラウス氏も同時期に長さ 650 アト秒で単一の光のパルスを分離可能にする実験を行っていた。

3 氏の貢献によりかつては不可能だった非常に高速なプロセスの調査が可能となり、電子により支配されるメカニズムを知る機会が我々にもたらされた。アト秒パルスは異なる分子の特定に用いた医療診断など、さまざまな分野での応用が期待されているとのことだ。

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