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20%を超えるROE:アルプス技研が儲け上手とされる理由
改めて「ROE(株主/自己資本利益率)」とはを記すのは、財経新聞の読者諸氏には失礼千万。『ROEが高くてもROA(総資産利益率)が低い場合は要注意』『ROE8%~10%水準に達すると日本では優良企業とされる。欧米では15%水準が必要』、と記すに止めておく。
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高ROE企業として興味深い、アルプス技研(東証プライム)。単なる人材派遣会社ではない。正社員技術者の派遣大手。具体的には自動車・電機・電子分野企業のプロジェクトに応じ、プロの自社社員を派遣した開発・設計・試作に強みを有している。
前12月期のROE実績:22・6%、今期予想:21・5%。高ROE企業は「儲け上手な企業」などと称されるがアルプス技研のここ数期間の収益動向を振り返ると、頷ける。
2021年12月期は「9.8%増収、6.5%営業増益、1.2%最終増益」。21年12月期は「11.2%増収、19.9%営業増益、10.4%最終増益」。今期計画は「6.8%増収(466億円)、7.5%営業増益(50億円)、0.1%最終増益(34億2000万円)」。中間期実績は「228億2000万円、23億8000万円、18億1400万円」と、概ね期初予想通りの推移を示している。かつ加えるなら各期とも「営業利益率は売上高の1割超」、であり「増配/配当性向50%超」。
背景はビジネスモデル(自社正社員の派遣)に、求められる。新入社員(技術系職のキャリアを有する)をどうやって「プロ社員」に育成していくのかは、今回は省く。が、こんなデータが公にされている。
「全社員の稼働率/新入社員を除く稼働率/技術者数」の推移だ。2020年度「92.1%/94.5%/3908名」。コロナ禍という状況下でも高稼働率を残し、しかも技術者数は204名増やしている。21年度「93.6%/95.4%/3994名」。22年度「96.1%/97.7%/4161名」。今年度上半期「95.2%/97.6%/4546名」。
高コストを伴う技術系社員の育成を回避しアウトソーシングで・・・は「企業の先々に禍根を残す」という指摘もある。が現実は現実として捉えなくてはなるまい。
本稿作成中の時価は2500円台終盤、予想税引き後配当利回り2.9%余り。昨冬から右肩上がりに転じた株価は年初来高値:3140円(6月22日)まで買い進まれ、18%方調整している。好配当利回りを享受しながら再人気を待つのが常套策か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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