業種分類が「建設」から「不動産」に変わった大東建託の何故と、依然好収益の何故

2023年8月14日 16:29

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2023年8月から放送されている新CM(画像: 大東建託の発表資料より)

2023年8月から放送されている新CM(画像: 大東建託の発表資料より)[写真拡大]

 大東建託(東証・名証プライム)。賃貸住宅の建設請負から一括借上げ事業で、絶対的な存在感を示している。賃貸仲介でも首位。

【こちらも】配当性向50%公約が外国人持ち株比率50%超を後押しする、大東建託の現状

 そんな大東建託の株式市場の業種分類が「建設業」から「不動産業」に変更されたのは、昨年10月3日。この種の変更は「証券コード協議会」の審議を経て行われる。変更に関して、大東建託はこう説明している。

 「賃貸の管理戸数が年々増加し、不動産事業の売上高が増加していることに伴うものと認識している」。

 確かに前2023年3月期の売上高で見ると、建設事業の完工工事高4595億7200万円(前期比6.2%増)に対し、不動産事業は「売上高1兆1030億円200万円(3.6%増)」という状況にある。が、大東建託の業態が変わったわけではない。以下をしっかりと把握しておかなくてはならない。

 「建築・一括借上げ物件の増加や過去最高水準の入居率を背景に、借上げを担うグループ会社:大東建託パートナーズの家賃収入増」、「連帯保証人不要サービスを担う:ハウスリーブの収入拡大」が不動産事業の売上高増を牽引しているという事実だ。とにかく賃貸の入居率は、「居住用:98.0%」「事業用:99.5%」。

 建設事業の拡充が、不動産事業の拡大に繋がっているという流れなのである。

 直近の収益動向は堅調そのもの。22年3月期の「6.3%増収、14.8%営業増益、11.7%最終増益、56円増配511円配」に続き23年3月期も、「4.7%増収、0.4%営業増益、1.1%最終増益、5円増配516円配」。そして今3月期計画は、「3.5%の増収(1兆7150億円)、3.0%の営業増益(1030億円)、3.8%の最終増益(730億円)、19円増配535円配」。

 配当性向が目標値と寸分たがいなく「50%」という点は、株主政策として歓迎したい。

 今期第1四半期後に決算説明会が行われているが、記者・アナリストとの質疑応答にも注目したい遣り取りが行われた。

 Q:ROE20%への施策検討を公にしておられるが、検討の状況は?
 A:周知の通り前期末で18.2%。20%に引き上げる策は、第2四半期の発表時に明示する。

 Q:長期金利が上昇傾向だが、影響は?
 A:軽微と捉えている。変動金利活用の顧客が多い。短い固定期間で調達している顧客が多い。

 環境の把握度を痛感する。

 本稿作成中の時価は1万5590円水準。予想税引き後配当利回り2.74%。昨年初冬の1万5000円台終盤から2月10日の1万2150円まで調整後の、戻り基調。どう対応するか。IFIS目標平均株価は1万5122円。算出者の6人中3人が「強気」、3人が「中立」。まずは好配当を堪能しつつ、様子見構えが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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