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東芝TOBが開始、今後の行方は?
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●JIPなど国内連合が8日からTOB
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)など国内連合は8日、東芝へのTOB(株式公開買付)を開始した。
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TOBの開始が発表された7日の東芝株は、小幅に上昇。東芝は同日、2023年4-6月期決算が253億円の赤字になると発表していたが、決算よりもTOBが意識されている。
TOBが成立すれば、東芝は年内にも上場廃止となる。東芝のTOBが無事に成立し、経営再建は成功するのだろうか?
●JIPとは?その他の企業の動きは?
JIPは、事業再編のために資本や経営支援をする日本のプライベート・エクイティ・ファンド運営会社である。
プライベート・エクイティ・ファンドは、機関投資家や個人投資家から集めた資金で株式を取得し、経営に関与。企業価値を高めたのちに売却して利益を得る投資ファンドである。
海外で有名なのは西武HDに投資していたサーベラスや、2021年に東芝の買収検討と報じられたCVCなどがある。
今回JIPは東芝のTOBを目的として「TB投資事業有限責任組合」を組成し、そこには日本特殊陶業やロームやオリックス、インフロニアHDなどが出資している。
●東芝の今後は?
上場廃止が成立すると、東芝は70年以上の上場会社としての歴史に幕を閉じることとなる。
東芝の島田社長兼CEOは、今回のTOBについて、70年以上上場が続いたことに株主への感謝を述べるとともに、安定した株主構成になるという前向きな発言をしている。
ここ数年苦しめられてきた“物言う株主”の影響力排除への期待が裏側にあるのでは、という憶測もある。
しかしJIPが提示した価格が安すぎるという声もあり、TOB成立へ予断を許さない。TOB成立には3分の2以上の応募が条件となっている。成立しても応募が9割未満なら臨時株主総会が開かれる。
JIPからの提案は3月から続いており、当初TOB実施は7月下旬に落ち着きそうだったが、それも長引いた。昨年東芝が提示した価格と1割以上の差があると見られている。
東芝が4割出資する半導体メモリー大手・キオクシアHDは、米ウエスタンデジタルとの経営統合の話もあり、こちらがTOPに影響を与えるとの見方もある。まだまだ順調なTOBとはいかなさそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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