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中部電力の子会社化の道を選択した、日本エスコンの足元と今後
日本エスコン(東証プライム)。総合不動産業者。マンションの分譲にはじまり、商業施設や物流施設開発など業容を拡大している。
【こちらも】日本エスコンがESG投資の対象となる理由
2021年8月2日の企業・産業欄に、『日本エスコンがESG投資の対象となる理由』を投稿した。
が今回日本エスコンを改めて覗き込んでみようと思ったのは、ESG投資のその後をフォローする為ではない。日本エスコンはコロナ禍の影響で21年12月期に、「15%の営業減益、22%の最終減益」に落ち込んだ。
そうした流れを日本エスコンは、「転機」と判断した。自己資本力の強化が必須と捉えた。期中の4月5日付けで大株主だった中部電力に対し第三者割り当てを実施、204億円の資金調達を行った。中部電力の持ち株比率は51.54%(現50.3%)となり、子会社化の道を選択したのである。
と同時に至23年12月期の3カ年の中計を策定した。「売上高1100億円(20年12月期比42%増)、営業利益160億円(31%増)」。発表当時の株価は、700円台半ば水準。そして今12月期は中計の最終年度。果たして・・・と思い、現状をチェックしてみたというわけである。
前12月期は「25.8%増収、49.2%営業増益、21.6%最終増益」。対して今期は「10.6%の増収(1100億円)、4.6%の営業増益(162億円)、29.6%の最終増益(94億円)」計画で立ちあがった。「中計クリア」の構えだ。そして第2四半期は前年同期「17.3%増収(479億3900万円)、21.3%営業増益(68億4200万円)、27.7%の最終増益(42億900万円)」というダッシュぶり。
記した流れが「コロナウィルスの影響の和らぎ」が大前提であることは、論を俟たない。しかし業界担当のアナリストは、こんな風に語っている。
「中部電力グループとの分譲マンションや、植物工場開発の本格化。賃貸収益性不動産を有する地力企業:ピカソ(グループ7社)の子会社化。日本ハムファイターズの新球場(ボールパークFビレッジ)関連の地域開発の連携メリット(レジデンス建設)など、環境の好転が背景としてある。具体的にはピカソグループの子会社化で安定した収益構造の高まりなどだ」。
加えておきたいのは厳しい環境下で進めてきた、自社開発に止まらないホテル運営システム「クラウド型ホテル運営システム(いわばホテル運営のDX化システム)」の提供。インバウンドーの復権が指摘される今、今後注目に値する。eコマース市場拡大による物流施設(ロジトレスブランド)の展開も、着実な伸びを見せている。
中部電力の子会社化を選択した効果は、着実に実を結ぼうとしていると捉える。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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