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「配当性向100%、DOE8%」目標を掲げた:世紀東急は、肝心な構造変革はなしうるのか!?
世紀東急工業(東証プライム)。東急系の道路舗装大手。環境・景観対応の技術に定評。この春以降の世紀東急の株価動向に、改めて株主還元策の重要性を覚えさせられた。
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年初来安値は2月9日の767円。以降、800円台出入りの値動きが続いていた。そんな株価が明らかに居所を変えたのは、5月初旬も大詰めのタイミング。
ジリジリ水準を切り上げ始めていた株価は5月9日、サプライズをハッキリ感じ取るように1095円(150円高)で引けた。そして翌10日は1260円(165円高)。出来高も140万900株が376万700株に急増した。その後も7月3日の1458円(年初来高値)まで買い上げられ、本稿作成中の時価も、日経平均株価が300円超の反落となる中1444円と値を保っている。
ターニングポイントは5月9日に発表された、『株主還元方針の変更』だった。それまでの「配当性向30%程度・総還元性向50%以上を目標」としていた株主還元を、「配当性向100%・DOE8%を目標」とした株主還元に変更するとしたのだ。
背景はリリースで確認してもらうとして、こう胸の内も吐露している。『当社の課題の1つである株価に関する厳しい状況が続いている。株主・機関投資家との対話においても・・・中期的なROE目標の達成に懸念を示す旨のご意見も複数頂いている・・・PBRが1倍を下回る状況が続いており、今後も評価の改善に向けた施策を実行していくことが重要な経営課題の1つであると捉えている・・・』。
改めるまでもないだろうがDOE(株主資本配当率)は当該企業の「年間配当総額÷株主資本」で算出する。最終利益は変動幅が大きいことから、ここにきて注目を集めている財務指標だ。「DOE8%目標」は、評価される水準。
ところで実は世紀東急は前2023年3月期の配当性向は、97.6%との高水準。ただその決算内容を覗くと・・・
<建設事業>: 一方の柱の官公庁事業。受注高前年度比10.6%増、完工高7.2%増も営業利益は8.2%減。<舗装資材製販事業>:13.6%増収も63.6%の営業減益。
微細には省略するが「8.8%増収(926億円)、13.2%営業増益(50億円)、0.1%最終減益(33億円)」計画が数次の修正で決算発表直前の5月9日には、「8.0%増収(924億1400万円)、39.4%営業減益(26億6900万円)、65.9%最終減益(11億2700万円)」に修正されている。その背景は「舗装資材製造設備等の固定資産の減損に係る減損処理の結果」とし「826億円の特損の計上」としている。
表現に語弊はあろうが、「原材料値上げを吸収できない体質から脱却の決意を示す、退路を断つための配当政策の大転換」と捉えることができる。動向を見守りたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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