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貯蓄から投資への流れが加速 今後の課題は?
投資信託協会は16日、4月末時点での投資信託に関する統計データを公表した。個人投資家向けに販売される投資信託である公募投信の純資産残高は、前月から2兆8,697億円増加し169兆315億円となり、3カ月連続で過去最高を更新した。
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これは、政府が進める「貯蓄から投資へ」の効果が出始めていることを示している。現政権が具体的に掲げる3本柱は、「1.NISAの抜本的拡充」、「2.金融教育の普及」、「3.金融事業者による顧客本位の業務運営」であり、1本目の柱の効果が大きい。
NISAの抜本的拡充については、NISAの制度恒久化や非課税枠拡大等の形で実現している。NISA口座は、金融庁によると、2022年12月末時点で約1,902万口座(一般・つみたて・ジュニア含む、速報値)となっている。
金融教育の普及に関しては、2022年から高校の家庭科の授業において、金融経済教育が必修となった。また銀行や証券会社等金融機関が小中学生向けに公開講座を開催したり、出張授業を行うといった試みが推進されている。こちらは継続的な活動が行われることで、徐々に効果を発揮するだろう。
但し、世界と比較すると投資規模はまだまだ小さいと言える。投資信託協会の発表する世界統計では、2022年12月末時点で投資信託の残高はアメリカの10分の1以下で、世界8位となっている(写真2参照)。
投資拡大、資産所得倍増のためには、更なる施策の推進が必要である。そのために必要となるのが、3本柱の1つである「金融事業者による顧客本位の業務運営」である。この点は多分に改善の余地がある。
顧客本位の業務運営が不十分であることについては金融庁も指摘しており、証券会社が手数料稼ぎのために流行りの投資信託を売りつける回転売買の横行や、運用会社の商品力がないこと等を挙げている。
これらの問題については一朝一夕での改善が難しいものの、政府や金融庁の後押しにより、証券会社や運用会社のビジネスが改善されることが期待される。国内外の資産を対象とした魅力的な商品の提供や、各投資家の投資方針や投資経験、リスク許容度に応じた販売が行われることで、国内の投資規模は更に拡大が見込まれる。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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