上場不動産の新参組:ランディックスの好収益支える枠組み「sumuzu」とは

2023年5月2日 08:26

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注文住宅相談窓口のsumuzu(スムーズ)カウンター(画像: ランディックスの発表資料より)

注文住宅相談窓口のsumuzu(スムーズ)カウンター(画像: ランディックスの発表資料より)[写真拡大]

 ランディックス(東証グロース)。港区・渋谷区など東京・城南6区を中心に、不動産売買・仲介を展開している。2019年9月上場のニューフェイス企業。

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 だがその収益力には「凄まじい」という表現すら当て嵌まる。コロナ禍の影響で21年3月期こそ「37%の営業減益(6億7200万円)」も、22年3月期は「2.18倍の営業利益(14億7000万円)」と急激な立ち直りをみせた。そして今3月期は「34.8%の増収(150億円)、5.3%の営業増益(15億5000万円)、3.5%の最終増益(9億7000万円)、10円増配65円配」。

 ランディックスの事業は、「sumuzu」と「賃貸事業」で成り立っている。なんといっても特徴的なのはsumuzu事業。不動産業界初の枠組みである。

 従来注文建屋(住宅)の建設には、こんな段取りが通常だった。「コンサルなどへの希望予算・間取りの相談」⇒「結果(イメージ)を基に最適と思われるデザイナーやハウスメーカーと接触」⇒「ミニコンペを実施し、業者を絞り込む」⇒「多角的に遣り取りをしながらイメージを確定」⇒「建設開始」。

 対してsumuzuの活用で、「土地相場を可視化したデータでチェックできる」「建築家・建設業者の得意な外観・内装イメージなどから、最適な依頼先を絞り込める」「複数の住宅専門業者にネット上でコンペを募集。最適な建築プランを選ぶことができる」。

 結果、「Webで瞬時にコンサルのマッチングが可能」「デザイナーや建設業者は登録さえしておけば、Web上のミニコンペに参加が可能」「依頼者はマッチングしたところに相談に行ける」といった具合に時間的なロスもなく納得ずくの住宅建設が図れる。

 要するに顧客が最適な建設会社を選べるというわけだが・・・(収益という)実績を残している。かつ創業者社長:岡田和也氏は、「不動産って1度購入したら、10年から20年を経ないと再購入しないというケースが多い。しかしうちの顧客は2度、3度、4度と当社を利用してくれる。現状で全ての成約の約35%がリピート・紹介・口コミで売り上げがたっている」と公言して憚らない。

 ただそれだけに、斯界では「標準仕様レベルでハイセンスな設計提案ができる実力派ハウスメーカーと称される」―「アールプランナーとの業務提携」といった類のニュースが相次いで伝えられたりもしている。

 日経新聞の「NEXTCompany(売上高300億円以下の中堅上場企業)」にあって昨年4-9月期の増収率ランキングで6位にランクインしている。

 投資家の評価は信用取引の賃貸倍率に顕著。売り残ゼロの「買い」優勢。時価は昨年来高値から14%近く整理が進んで2600円台前半。予想税引き後配当利回り約2%。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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