アップルの新預金サービス、金融業界に与える影響は?

2023年4月21日 17:00

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●アップルが預金サービス

 米国IT大手のアップルが17日、金融大手のゴールドマンサックスと提携し、米国内を対象とした高金利預金サービスを開始すると発表した。

【こちらも】Apple、米国で金利年4%の預金サービス開始

 普通預金の金利が4.15%ということが話題になっており、全米の平均の普通預金と比べても10倍以上で、日本と比べれば約4000倍以上となる。

 シリコンバレー銀行(SVB)の破綻で預金を移す動きが活発となっている中、破格とも言えるアップルの高金利の新預金サービスは、金融業界全体にどのような影響を及ぼすのか?

●新サービスの中身

 今回のアップルの預金サービスは、普通の金融機関で口座開設するような安易なものではない。

 ゴールドマンサックスの普通預金口座を持つ、アップルのクレジットカードであるアップルカードの利用者向けである。4.15%の金利を受け取れるのは、米国在住のアップルカード所持者である。

 iPhoneの財布アプリ“ウォレット”で残高などの確認ができる。

 すべてをスマホで完結できるようになることが期待される。だがAppleCash以外の銀行口座からの送金は、引き出すのに2~3日かかる。

●金融界に脅威となるのか?日本にも普及?

 現状アップルカードは米国居住者しか作ることができない。

 アップルカードが日本に普及すれば、キャッシュレスが浸透しつつある日本でも普及する可能性もある。

 だが4.15%という高金利はそもそも新規顧客のためのキャンペーンという見方もあり、いつまで続けるかは不透明である。ゼロ金利の日本では、金融当局が認可することも考えにくい。

 4.15%とはいかなくとも魅力的な金利であれば、既存の金融機関から多少は資金流出が懸念されるが、多額の規模となることは考えづらい。

 米国民も4.15%という高金利の持続性については懐疑的であっても、預金保険の保護対象である25万ドル(約3380万円)までは、ポートフォリオの1つとして保有する価値はあるだろう。

 アップルとすれば、SVBに端を発した金融危機での資金流出に便乗したとも言う見方もある。SVB破綻以降、資金流出が起きている金融機関にとっては新たな脅威だろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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