J:COM、ケーブルテレビによる「オンライン診療」を全国の事業者に展開へ

2023年4月1日 09:43

印刷

ケーブル・オンライン診療の利用者画面イメージ(画像:J:COMの発表資料より)

ケーブル・オンライン診療の利用者画面イメージ(画像:J:COMの発表資料より)[写真拡大]

 J:COMは3月31日、テレビで診察・服薬指導が受けられる「ケーブル・オンライン診療」の提供を開始すると発表した。同社が展開している「J:COM オンライン診療」の仕組みを全国のケーブルテレビ事業者向けに提供し、地域医療への貢献を目指すという。

【こちらも】MICIN、外来診察の受付や会計がスマホで完結の新サービス

 テレビによるオンライン診療サービス提供の背景には、シニア世代のオンライン診療が増えていない現状がある。厚生労働省の実態検証(21年4~6月、n=6,875人)によると、年齢別のオンライン診察受診割合は50歳以下が約8割を占める。医療機関の利用が増える71歳以上は、全体の9%ほどに留まっている。

 J:COMでは、シニア世代のオンライン診療が進まない理由について、従来サービスが主にスマートフォンなどのデバイスで提供されているためと想定。シニア世代に馴染みのあるテレビを用いたオンライン診療の需要を見込み、21年7月より同社ケーブルテレビのプラットフォームを用いたサービスを開始した。テレビのリモコン操作で、利用申請から診察予約、オンライン診察、服薬指導や薬の受取り指定などが可能だ。

 診療は、MICINが手がけるオンライン診療サービス「curon(クロン)」と連携して提供。当初は診察のみを提供していたが、23年1月からトモズや日本調剤などの薬局と連携して服薬指導も開始し、サービス提供範囲を拡大している。その既存サービスを今回事業者向けに提供する形となる。

 事業者への提供は23年4月1日から開始し、順次展開していく方針。まずは中国新聞のグループ会社であるちゅぴCOMに提供する。

 ケーブル・オンライン診療の利用にあたっては、ケーブルテレビのチューナー機器とWebカメラの設置が必要だ。電話またはWebフォームから申込みすると、担当者が訪問して機器の設置を行う。その際に機器の操作方法を案内し、シニア世代でも導入しやすいようなサポートを行っている。

 こうした取り組みのベースには、21年5月に設立された「地域スマート医療コンソーシアム」がある。コンソーシアムが目指すのは、高齢者を含む地域住民が利用しやすいオンライン医療・介護・ヘルスケアサービスの普及促進。医療機関、薬局、オンライン診療サービス・ヘルスケア関連事業者、ケーブルテレビ事業者が参画している。J:COMのほか、MICINやトモズ・日本調剤も発足時から名を連ねている。

 J:COMは今後、全国のケーブルテレビ事業者と共にケーブル・オンライン診療を提供することで、持続的な地域社会の発展に貢献していくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事