東京メトロ、丸ノ内線で自動運転の実証実験 2025年度から

2023年3月26日 07:15

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丸ノ内線のイメージ(画像:東京メトロの発表資料より)

丸ノ内線のイメージ(画像:東京メトロの発表資料より)[写真拡大]

  • 自動化レベルの概要(画像:東京メトロの発表資料より)

 東京メトロは24日、丸ノ内線における自動運転の実証実験に向け、2023年4月から試験準備を開始すると発表した。実証実験は2025年度から開始を予定。現状よりも自動化レベルを上げた「レベルGoA2.5」で、営業運転終了後に実証実験を行う。

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 自動化レベルGoA2.5は、IEC(国際電気標準会議)の自動運転都市内軌道旅客輸送システムの定義「IEC 62267」によるもので、レベルはGoA0からGoA4まで6段階設けられている。GoA2.5では、列車の先頭車両に乗務する車掌は緊急停止操作や避難誘導などを担い、運転は自動で行う。

 東京メトロでは現在、GoA2.5の下位レベルにあたるGoA2を一部列車で採用。GoA2では、先頭車両の車掌が前述の業務に加え、列車の起動を担う。現時点では、丸ノ内線のほか、有楽町線、南北線、副都心線などで実施されている。

 また丸ノ内線では22年11月より、一部区間の営業運転終了後に、無線式列車制御システム(CBTCシステム)の走行試験を開始している。同システムは、無線通信技術を用いて先行する列車の位置を捉え、後続車両のスピードやブレーキなどを制御し、安全な列車間隔を保つ。現在、丸ノ内線の四ツ谷駅~荻窪駅区間で走行試験を実施しており、24年度には全区間への導入を予定している。

 丸ノ内線が実証実験の実施路線に選ばれたのは、現状の運転自動化レベルとCBTCシステムの導入状況に加え、10年以上にわたりワンマン運転を運行してきた実績を持つためだ。現在、丸ノ内線では全線でワンマン運転を行っているが、その開始は09年。実施にあたっては、ホームドアや転落防止装置、ホーム監視用のモニタの設置や、緊急停止装置の搭載など安全性の確保にも取組んできた。

 東京メトロが運転の自動化を進める背景には、中期経営計画(2022-2024)の「東京メトロプラン2024」がある。そこで目指す姿は、ネクストノーマルを見据えた「構造変革・新たな飛躍」。その施策の筆頭に「コスト構造改革・次世代型業務変革」を掲げ、次世代型業務変革の施策1つに自動運転を位置づけている。運転自動化により、生産年齢人口減少が進む中でも、安全で効率的な事業運営の継続を目指すという。

 東京メトロは23年4月より、実証実験の開始に向け、実験に用いる車両の仕様検討や自動列車運転装置の高機能化に取組む方針だ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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