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【映画で学ぶ英語】『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』:ウェイモンドの名言
3月3日に公開された『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、アクションやコメディというジャンルの壁を打ち破る異色の映画だ。独創的な物語や巧みな演出、演技、視覚効果、衣装、アクションシーンが高く評価され、世界の映画賞を席巻している。
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第95回アカデミー賞では11部門にノミネートされ、作品賞や主演女優賞など7部門を受賞した。
今回はこの映画に登場する主人公エヴリンの夫ウェイモンドの名セリフから、不定代名詞エブリシングの使い方などを紹介しよう。
■映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のあらすじ
本作の主人公エヴリンは、若いとき夫ウェイモンドとともに無一文で香港からアメリカに移民してきた。
中年に差し掛かった現在、香港から呼び寄せた頑固な実父は要介護、アメリカで生まれ育った娘ジョイは親の価値観を完全に否定する永遠の「中2病」だ。その上、夫婦の関係は冷え切って、夫は彼女に離婚を切り出そうとしている。
山積する中年の危機に追い打ちをかけるように、夫とともに経営するコインランドリーがIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁、日本の国税庁に相当)の調査を受けることになった。
担当者と面談の当日、税務署のエレベーターのなかで頼りない夫が豹変する。彼はエヴリンに、自分はパラレルワールド・アルファバースからやってきた「アルファウェイモンド」だと言い出した。
アルファバースの科学者アルファエヴリンは、パラレルワールド間を移動する「バース・ジャンピング」の実験に娘アルファジョイを使っていた。
いくつものパラレルワールド間を移動するストレスから心を病んだアルファジョイは、邪悪なカルト教団のリーダー・ジョブトゥパキになって、母親への復讐を決意。すべてのパラレルワールドに存在するエブリンを抹殺しようとしている、と言うのだ。
半信半疑のエヴリンだが、アルファウェイモンドに導かれジョブトゥパキとの戦いに乗り出す。様々なパラレルワールドで別バージョンのエヴリンを体験する彼女は、自分の人生の重要な転機を回想していくことになる。
■ウェイモンドの名言
物語を通じて、逆境に積極果敢に立ち向かおうとするエヴリンの戦士のような性格と、物腰柔らかく楽天的なウェイモンドの性格の相違が鮮明になってくる。
ウェイモンドもエヴリンとは別の仕方で逆境に立ち向かっているわけで、エヴリンより成果を上げることも少なくない。
そんなウェイモンドの信条をよく表しているのが、終盤近くに彼がエヴリンに語る次のセリフだ。
When I choose to see the good side of things, I'm not being naive. It is strategic and necessary. It's how I’ve learned to survive through everything.
「物事のいい面を見るのはバカではない。必要な戦略だ。あらゆる経験から学んだ僕の生き残る術だ」
■表現解説
今回の名セリフの原語は中国語だが、ここでは英語字幕を紹介する。
タイトルにも使われているエブリシングやエブリウェアは、エブリワンなどとともに指示するものが特に定まっていない不定代名詞。「あらゆること、何でも」、「あらゆる場所、どこでも」と不特定の物事の総体を表現する。
エブリシングなど不定代名詞は、everything looks differentのように必ず単数扱い、1単語で表記される。
また今回のセリフでは、survivieとeverythingの間にthroughがあることに注意したい。
Survive+目的語で「目的語を生き抜く」という意味になるため、「あらゆることを生き抜く」と言いたければthroughは不要だ。Throughは結果や手段を指している可能性を考慮に入れたほうがよいだろう。
このセリフとの関連でgo through somethingという動詞句も覚えておきたい。
「困難、不愉快な状況を経験する、点検する」という意味で、たとえば「I went through every emotion/様々な感情を抱いた」のように使われる。「チェックリストを点検、熟読する」であればgo through the checklistとなる。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)
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