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無印良品、「インフラゼロでも暮らせる家」実証実験 2024年の実用化目指す
「無印良品の家」を手がけるMUJI HOUSEは2日、エネルギーや水など既存のライフラインに依存しない移動式住宅「インフラゼロでも暮らせる家」の実証実験を開始すると発表した。実証実験は、「ゼロ・プロジェクト」と名付け、2023年3月よりプロトタイプの開発を開始し、24年以降の実用化を目指す。
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インフラゼロでも暮らせる家は、自動車で牽引可能なユニットを組み合わせて設置する予定。インフラユニットには蓄電池や水の循環システムなどを実装する。リビングを含めた全ユニットを高断熱仕様とし、屋根と壁には一体型の太陽光発電設備を設ける。
ゼロ・プロジェクトでは、インフラゼロを含め4つのゼロを目指す。ゼロの2つ目はカーボンゼロで、太陽光発電などを用いてCO2の排出を実質ゼロにする。
3つ目はリビングコストゼロで、再生可能エネルギーの利用と、廃棄物や排泄物の処理コストを無くすことで、生活にかかるエネルギーコストを実質ゼロ化する。4つ目は災害リスクゼロで、インフラ機能を持つ家を移動可能にし災害リスクを回避する。
実証実験にあたっては、ベンチャー企業2社と連携する。連携するのは、社会インフラ領域のイノベーション推進などの事業を展開するU3イノベーションズと、エネルギーを作る屋根の開発などを手がけるモノクロームだ。
U3イノベーションズは、持続可能な新しい社会システムの実現を目指し2018年10月に創業。「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」の共著者2名が立ち上げた。22年3月からは、電力送電網につながずに電力を自給自足するオフグリッド住環境の実証実験を開始。山梨県北杜市に実証施設を設け、検証を進めている。
ゼロ・プロジェクトでは、水を循環利用する自律分散型水処理システムや、蓄電池、微生物を用いて排泄物を分解・処理するバイオトイレの分野で連携を予定している。
モノクロームは21年7月創業で、屋根一体型の太陽光発電設備「Roof-1」と、電力使用状態を可視化し管理するHEMS(ヘムス)の開発を手がけている。Roof-1は、黒の金属屋根と太陽光発電セルを独自加工で一体化したもの。新築では屋根上に設置する太陽光パネルと比べ施工費が抑えられる。
ゼロ・プロジェクトでは、屋根と壁の一体型太陽光発電の実証に対して技術提供する。
MUJI HOUSEはこれまで、「無印良品の家」の性能として断熱性の高い外壁や窓を展開。建物への日差しや風の入り方などを分析し、実際にかかる電力消費量をシミュレーションして建物を提案するサービスも手がけている。
同社は既存技術を活かし技術提供も受けながら、インフラゼロでも暮らせる家の実用化を目指す。取組みを通じて、住宅建設から廃棄までトータルでCO2の収支をマイナスにする、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)化を図っていくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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