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世界のポリグロットから学ぶ、外国語学習で重要な8つのポイント
ポリグロット(多言語話者)と聞くと、特殊な才能を持った人、特別な環境に育った人というイメージが浮かぶかもしれない。しかし彼ら自身は、ポリグロットは決して特殊能力者や天才ではないと言う。
【前回は】世界のプリグロットから学ぶ、外国語学習の原則と実践
語学が好きな人がそれなりに工夫をこらして、1つずつ外国語を習得しているに過ぎないと言うのだ。であれば、彼らのそれなりの工夫を模倣する意義は大きいであろう。前回はTEDのスピーチから3人のポリグロットの実体験をもとに、外国語習得の原則と実践を紹介した。
実体験に基づく彼らの話は説得力があり、それぞれとてもユニークに感じる。しかしよく聞くと表現が異なるだけで、結局は同じことを指していたりする。3人のポリグロットたちに共通する外国語習得に欠かせないポイントを、コンパクトにまとめると下記になる。
1. リラックスして楽しく学ぶ
2. 習得言語の発音表記を1から正確に覚える
3. 初期段階でリスニング洪水を浴びる
4. 頻出単語から習得する
5. 顔が筋肉痛になるまで練習する
6. 良き先生を見つける
7. 間隔反復で効率よく記憶する
8. しっかり間違えて正しく覚える
この8つのポイントを外国語習得の順番に即して1つずつ解説したい。
●1.リラックスして楽しく学ぶ
全ての学習段階に共通して言えることは、焦りや苛立ちを抑えて、リラックスして楽しく学ぶことがとても重要だと言うことだ。ほとんど全てのポリグロットが外国語習得で最も大切なことの1つにあげている。ここには科学的な根拠もある。
前回登場したポリグロットのChris Lonsdaleさんは、心理学で蓄積された研究成果を語学学習プロセスに応用し、短期間で語学を習得するメソットを紹介している。
スピーチII「どんな外国語でも半年でマスターしてしまう方法」
Chris Lonsdaleさんは、語学習得において心理状態はとても重要で、悲しみ、怒り、不安などネガティブな感情があると上手くいかないと語る。文法も発音も100%でないと気が済まないと言う人は、完璧でないことに終始苛立ち、語学学習が大きなストレスとなってしまう。
東邦大学神経科学研究室の増尾好則教授によると、前頭前野にあるワーキングメモリは人間の最も高度な認知機能だが、不安やストレスに対して脆弱で、強いストレスは前頭前野の機能を低下させると言う。
反対に、リラックスして楽しい気分でいるときは、脳からアルファ波が発生すると言う。
私たちの脳では、心の状態によってアルファ波、ベータ波、シータ波、ガンマ波、デルタ波など、特徴的な周波数の脳波が発生する。そして異なる脳波の状態によって身体の機能が向上或いは低下すると言うのだ。
リラックスして楽しい気分でいるときに発生するアルファ派は、脳の活性化を促し、記憶力、集中力、創造力が高まる効果があると言う。脳波が作業効率に与える影響はビジネスの分野でもよく語られている。
アルファ波を意図的に引き起こすには、「コーヒーの香りをかぐ」、「入浴」、「瞑想」といった方法がある。「川のせせらぎ、波や雨など自然音を聞く」、「モーツァルトの曲を聴く」、といった方法も手軽に効果が得られる。YouTubeで検索してお気に入りの音や画像を見つけてみよう。以下にいくつか参考動画を紹介する。
ポリグロットが提唱する外国語習得に欠かせない8つのポイントは、どれも学習効率を上げる簡単なコツのようなもので、決して難しいことではない。しかし、つい忘れてしまったり疎かにしてしまったりするので、定期的チェックして継続しよう。次回はポイントの2~8について詳しく解説したい。(記事:薄井由・記事一覧を見る)
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