ラクスルのビジネスモデルは、中小印刷業者の救世主!?

2023年2月22日 08:46

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「ラクスル」の会員は累計200万人を突破(画像: ラクスルの発表資料より)

「ラクスル」の会員は累計200万人を突破(画像: ラクスルの発表資料より)[写真拡大]

 ラクスル(東証プライム)。印刷物を小口からネット仲介する『ラクスル』と、TVCM等の運営を支援する『ノバセル』の展開が両輪。社名の由来は「インターネットの活用で企業の業務を“楽にスル”」だと言うから、妙に感嘆。

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 昨年10月3日のニュースリリースの見出しには、笑えぬ「笑い」を覚えた。その見出しとは、『値上げラッシュに逆行!「ラクスル」、販促活動支援で今年最大の値下げキャンペーンを開始』。

 ラクスルは印刷・集客のシェアリングプラットフォーム。そのビジネスモデルは提携印刷会社の印刷機が非稼働時を活用し、チラシやパンフレット等の印刷を行う。10部(冊子なら1部)から受注し注文を受け、印刷会社に制作を委ねる。チラシなどは注文翌日に納品が可能。印刷会社には無料のデザインアプリ「オンラインデザイン」を提供。

 発注顧客にとっては外注先を探す手間や、且つ自前制作でないから時間・予算のコスト削減に繋がる。印刷会社には印刷機の効率化というメリットをもたらす。

 ちなみに1万点以上のデザインプレートで、名刺・チラシ・フライヤー(一面チラシ)・冊子・カタログ・新聞折込物・ポスティング・DM・封筒・シール・年賀状など14種類に対応。

 なお表題のリリースには「値下げ率は、最大37%」とあるが、よくよく読み込んでいくと内容は「現状価格維持/値上げしない」というもの。

 そんなラクスルも2020年7月期には、コロナ禍で2億4400万円の営業損失に落ち込んだ。が、ジリジリと回復基調に立ち戻り、前期は一気に「12.3%増収、営業利益2.1倍、6.38倍の最終増益(過去最高益)」へ。そして今7月期計画は、「14.5%の増収(389億円)、2.5倍の営業増益(11億7500万円)、2%の最終減益(10億円)」。

 一方のノバセルは一口で言うと、TVCM効果の「見える化」が中心。競争相手も少なくない。効果分析ツールのローチンなどの開発・提供で目下「鋭意努力中」という状況。だが前期でみると38.4%増収と着実増。セグメント利益は900万円にとどまるが、まずは売り上げ増の継続による利益積み重ねがポイントになろう。

 そんなラクスルの本校作成中の時価は、2800円水準。昨年来高値(22年1月の5770円)から同安値(6月の1422円)と押し目基調が続き、目下は戻り基調。IFIS目標平株価4900円。2018年5月の上場初値で買い保有していると、いわゆる現物出資実施を勘案した調整値ベースで4倍近いパフォーマンスを残している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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