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ポッカサッポロ、AI活用し熟達者の製造技術を継承 生産性向上と社員育成へ
ポッカサッポロフード&ビバレッジは15日、群馬工場でAIを用いて熟達者の製造技術を継承する取り組みを始めたと発表した。AIで熟達者の知見などを分析・データ化し、経験が少ない社員向けの学習システムを構築して技術を継承する。生産性向上や社員育成期間の短縮につなげたい考えだ。AIの提供およびシステム構築は、製造業のDX支援などを手がけるLIGHTz(ライツ)が担う。
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技術継承するのは、ポッカサッポロの豆乳ヨーグルトのもととなる「原豆乳」の製造方法だ。大豆独特の臭みや青臭さを減らしすっきりした味わいにするための「おいしさ丁寧絞り製法」など、原豆乳の製造技術の継承を行う。
大豆選定から、臭みのある大豆の皮の除去、高温で煮て臭いやアクを抜く高温循環浸漬、微細に砕いてさらっとした食感を実現する特殊多段粉砕方式など、約500以上の要素が複雑に絡む工程があるという。取り組みの背景には、シフト勤務などで運用する製造現場では、OJTだけでは技術習得が難しい現状がある。
今回の取り組みでは、まず熟達者にヒアリングを行い、製造関連の知見や背景にある原理原則など、熟達者の思考を言語化することから着手。それをLIGHTz が独自開発したAI技術「BrainModel」で分析してデータ化・体系化。体系化されたデータをLIGHTz が展開するシステム「IndstPark」に落とし込み、現場学習用の仕組み構築を行った。
IndstParkでは詳細な製造工程に加え、各工程を進める上での原理原則や背景にある熟達者の考え方、各工程の位置づけ、他工程との関わりなどを可視化できる。経験の少ない社員でも部分的な工程だけでなく工程全体の理解が可能となるため、育成期間の短縮や生産性の向上につながるという。
システム構築を手がけたLIGHTzは、2016年創業のベンチャー企業。「新時代の“伝統のあり方”を創る」をミッションに掲げ、製造業を中心にDX支援を行っている。
21年9月には、加賀友禅の作家と共同で伝統工芸品の技能や思考を可視化して技能継承につなげる取り組みも実施。これまで複数メディアで取り上げられてきた。22年10月末には、Fiducia、筑波銀行、いわぎん事業創造キャピタルから新規出資を受け、プレシリーズAで総額3億円の資金調達を行っている。
かつて技術大国と呼ばれた日本。現在でもその技術力は世界的に評価されている。一方で、労働政策研究・研修機構が18年に行った「ものづくり産業における技能継承の現状と課題に関する調査」によると、約8割が将来の技能継承を不安視(従業員数30人以上の製造業、5,867社)。継承がうまくいかない理由として、人材確保の困難さに次ぎ、計画的なOJTの難しさがあげられている。
ポッカサッポロは、本取り組みで技術継承を進め安定的な商品提供を行うとともに、より良い商品づくりへもつなげていくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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