JSPは原材料価格高騰影響で23年3月期3Q累計減益だが、3Qは改善基調

2023年2月1日 10:46

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  JSP<7942>(東証プライム)は1月31日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。高機能材製品の販売増加や販売価格改定効果などで2桁増収だが、期前半に販売価格改定が遅れた影響で原材料価格高騰の影響をカバーできず減益だった。そして通期の減益予想を据え置いた。自動車生産調整や原材料価格高騰の影響を見込んでいる。第3四半期累計の進捗率は概ね順調だった。販売価格改定が進展して第3四半期の営業利益が改善基調となっていることを勘案すれば、24年3月期は収益改善基調が期待されるだろう。株価は水準を切り上げて安値圏でのモミ合いから上放れの展開となった。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、出直りを期待したい。

■23年3月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

 23年3月期第2四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比16.4%増の990億80百万円、営業利益が46.1%減の23億15百万円、経常利益が38.6%減の27億63百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が35.9%減の21億09百万円だった。売上面は高機能材製品の販売増加や販売価格改定効果などで2桁増収だが、利益面は期前半に販売価格改定が遅れた影響で原材料価格高騰の影響をカバーできず減益だった。

 押出事業は、売上高が8.8%増の320億09百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が33.6%減の15億97百万円だった。全体として販売価格改定効果で増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。生活資材製品は食品トレー向け分野や広告宣伝用ディスプレイ材の販売が増加し、販売価格改定効果も寄与した。産業資材製品や建築土木資材製品の販売は前期並みだったが、販売価格改定効果が寄与した。

 ビーズ事業は、売上高が22.0%増の620億89百万円、利益が46.9%減の13億26百万円だった。全体として高機能材製品の販売増加や販売価格改定効果で大幅増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。自動車部品など幅広い分野で使用されている発泡ポリプロピレン「ピーブロック」を中心とする高機能材製品は国内、北米、南米、シンガポール、韓国等で販売数量が増加した。ユニットバス天井材等に使用されているハイブリッド成形品「FOAMCORE」の販売も増加した。

 その他は売上高が3.8%増の49億82百万円、利益が0.9%増の1億52百万円だった。一般包材の販売が自動車部品輸送関連等の需要回復で増加した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が309億77百万円で営業利益が7億64百万円、第2四半期は売上高が332億75百万円で営業利益が6億40百万円、第3四半期は売上高が348億28百万円で営業利益が9億11百万円だった。第3四半期の営業利益は販売価格改定が進展して改善基調となった。

 通期連結業績予想(22年10月31日付で売上高予想を上方修正、利益予想を下方修正)は据え置いて、売上高が22年3月期比14.8%増の1310億円、営業利益が30.3%減の32億円、経常利益が24.0%減の37億円、親会社株主帰属当期純利益が6.7%減の27億円としている。配当予想は22年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 製品価格改定も寄与して2桁増収だが、利益面は自動車生産調整や原材料価格高騰の影響で減益予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高が75.6%、営業利益が72.3%、経常利益が74.7%、親会社株主帰属当期純利益が78.1%と概ね順調だった。販売価格改定が進展して第3四半期の営業利益が改善基調となっていることを勘案すれば、24年3月期は収益改善基調が期待されるだろう。

■株価はモミ合いから上放れ

 株価は水準を切り上げて安値圏でのモミ合いから上放れの展開となった。そして週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じてきた。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、出直りを期待したい。1月31日の終値は1578円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS90円58銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2884円93銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約496億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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