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【どう見るこの株】サンネクタスグループは戻り試す、23年6月期減益予想だが中期成長期待
サンネクタスグループ<8945>(東証プライム)は社宅アウトソーシング業界のリーディングカンパニーである。独立系のアウトソーシングサービス専門会社として社宅マネジメント事業、マンションマネジメント事業、インキュベーション事業を展開し、アウトソーシング領域拡大とオペレーション変革によってアウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展を目指している。23年6月期はコロナ禍や戦略投資の影響で減益予想としている。第1四半期の進捗率はやや低水準だったが、第2四半期以降の挽回、そして積極的な事業展開で中期成長を期待したい。株価は地合い悪化も影響して上値が重くなり小幅レンジでモミ合う形だが、高配当利回りも評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■社宅管理やマンション管理を代行するアウトソーシングサービスを展開
日本社宅サービスが20年7月に持株会社に移行して商号をサンネクタスグループに変更した。社宅アウトソーシング業界のリーディングカンパニーである。
独立系のアウトソーシングサービス専門会社として、大企業の社宅・寮・駐車場等の社宅管理事務代行サービスや中堅・中小企業の人事・総務向けBPOサービスを提供する社宅マネジメント事業、中規模分譲マンションを中心に施設管理や専有部サービス(修繕工事等)のトータルマネジメントサービスを提供するマンションマネジメント事業、住まいを管理する事業者向けに24時間対応コールセンターサービスや見守りセキュリティサービス等のサービスプラットフォームを提供するインキュベーション事業を展開している。独立系であること、厳選したパートナー企業のネットワークを保持していること、ストック型のビジネスモデルであることなどを特徴・強みとしている。
グループは同社(持株会社)および連結子会社4社で構成されている。連結子会社は社宅事務管理代行等の日本社宅サービス、マンション施設管理等のクラシテ、賃貸管理仲介等のクラシテ不動産、管理会社支援サービス等のスリーSである。
M&A・アライアンス関連では、21年12月に日本社宅サービスが人事・総務向けBPOサービス関連の新サービス開発に向けて、ギグベースおよびタレントアンドアセスメントと事業提携した。そして両社に出資(合計0.9億円)した。
22年6月期セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は社宅マネジメント事業が21年6月期比0.8%増の41億91百万円、マンションマネジメント事業が3.6%増の40億98百万円、インキュベーション事業が0.4%増の4億06百万円、営業利益(全社費用等調整前)は社宅マネジメント事業が1.1%減の14億04百万円、マンションマネジメント事業が44.4%増の2億55百万円、インキュベーション事業が3百万円の損失(21年6月期は23百万円の損失)だった。
主要KPIは、社宅マネジメント事業の受託件数(社宅アウトソーシングとBPOサービスの合計)が1万6454件減少の27万915件、マンションマネジメント事業の管理戸数が111件減少の2万4096件、インキュベーション事業のコールセンターユーザー数が5683件増加の9万9016件だった。
社宅マネジメント事業の売上高は、人事・総務向けBPOサービスが拡大し、転勤等による異動数の増加で引越サービス手数料も増加したが、一部顧客における解約や特定業務内製化の発生などで全体として横ばいだった。マンションマネジメント事業の売上高は、収益性の低い大型物件の解約や、専有部サービスにおける全日総管理の株式譲渡(22年3月)による連結除外の影響があったが、新規受託が堅調に推移して管理戸数が前期並みとなり、管理組合向け修繕工事の増加なども寄与して増収だった。インキュベーション事業は24時間対応コールセンターサービスの受託件数が増加した。
■中期経営計画「NEXT STANDARD 2025」
21年6月期~25年6月期を対象期間とする中期経営計画「NEXT STANDARD 2025」では基本方針に、ストックビジネスをベースにした継続的かつ安定的な成長、ICTの活用によるサービスの変革と生産性の向上、グループシナジーの結集による新しい基盤事業の創出を掲げている。重点戦略として、アウトソーシング領域の拡大とオペレーションの変革によって、アウトソーシング事業者としてのさらなる進化・発展を目指す方針だ。
目標数値は、最終年度25年6月期売上高140億円、営業利益21億円、売上高営業利益率15.0%、1株当たり当期純利益133円、ROE(株主資本利益率)10%以上、DOE(連結株主資本配当率)5.0%以上などとしている。投資計画は中堅企業向けサービスの開発、社宅管理業務のデジタル化、高度にデジタル化されたマンション管理モデルの開発など、5カ年合計14.9億円としている。
なお22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に伴って東証プライム市場に移行・上場したが、移行基準日(21年6月30日)時点において流通株式時価総額と1日平均売買代金が上場維持基準を充たしていなかったため、21年12月20日付で「新市場区分の上場維持基準適合に向けた計画書」を公表している。
計画期間を25年6月期末までとして、中期経営計画「NEXT STANDARD 2025」で掲げた成長戦略・事業計画の着実な遂行、IR活動の推進・充実、コーポレートガバナンスのさらなる充実などによって企業価値の向上を図り、時価総額250億円超および流通株式時価総額100億円超、そして1日平均売買代金の基準充足を目指すとしている。
22年8月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFD提言が求める4つの情報開示項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標」について決議した。
22年9月には上場維持基準適合に向けた計画に基づく進捗状況を公表した。22年6月30日時点の流通株式時価総額、22年1月1日から22年6月30日の1日平均売買代金とも増加が見られ、各種取組を着実に遂行した成果が表れているとしている。そして引き続き企業価値向上、上場維持基準充足を目指して各種取組を推進するとしている。
■23年6月期減益予想だが中期成長期待
23年6月期の連結業績予想は、売上高が22年6月期比3.5%増の90億円、営業利益が11.6%減の7億80百万円、経常利益が12.1%減の8億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が72.7%減の5億40百万円としている。配当予想は22年6月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。12期連続増配予想である。
人事・総務向けBPOサービスやインキュベーション事業の拡大で増収だが、コロナ禍の影響が一定期間継続すると想定し、新サービスやデジタル化などの戦略投資を継続するため減益予想としている。親会社株主帰属当期純利益については、前期計上した投資有価証券売却益(19億03百万円)の剥落も影響する。
第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の19億74百万円、営業利益が3.0%減の1億51百万円、経常利益が4.9%減の1億52百万円、親会社株主帰属四半期純利益が1.2%増の1億円だった。デジタル化投資の影響などで小幅営業・経常減益だった。
セグメント別に見ると、社宅マネジメント事業は売上高が6.8%減の9億43百万円で、営業利益が16.4%減の2億96百万円だった。前期に発生した一部顧客における解約や特定業務内製化の影響で減収減益だったが、概ね計画水準だったとしている。人事・総務向けBPOサービスを含めてアウトソーシング需要が高い状態を維持した。
マンションマネジメント事業は売上高が5.5%減の9億24百万円で、営業利益が29百万円(前年同期は2百万円)だった。リフォームサービスを担う全日総管理が連結除外となった影響で減収だが、全体として管理戸数が順調に増加し、人件費の減少やのれん償却額の減少も寄与して大幅増益だった。
インキュベーション事業は売上高が11.5%増の1億06百万円で、営業利益が11百万円(同5百万円の損失)だった。24時間対応コールセンターサービスの受託件数が伸長し、保険サービス代理店手数料も増加して営業黒字転換した。
通期の連結業績予想は据え置いている。第1四半期の進捗率は売上高21.9%、営業利益19.4%、経常利益18.5%、親会社株主帰属当期純利益18.5%とやや低水準だったが、第2四半期以降の挽回、そして積極的な事業展開で中期成長を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は地合い悪化も影響して上値が重くなり小幅レンジでモミ合う形だが、週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。高配当利回りも評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。1月6日の終値は978円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円14銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS811円82銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約105億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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