NEC、AIによりオープンデータから顧客特性を推定する技術開発 世界初

2022年12月16日 16:36

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今回開発されたAIによる新技術の概要(画像: NECの発表資料より)

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 NEC(東京都港区)は15日、消費者の関心など特性をAIで推定する「消費者属性拡張」技術を開発したと発表した。顧客情報が不十分な場合、Web上のデータや他社の顧客データから学習した「似た人」を探す。その人の行動傾向に基づき、必要な顧客の関心や興味を明らかにする。

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 こうしたメカニズムを用いた推定技術の開発は、世界初という。今後は企業のマーケティング支援に活用する予定だ。同社はジェーシービー(東京都港区)と共に、9月から消費者向けマーケティング領域で活用すべく実証実験に取り組んでいる。

 AIはまず、Web上のオープンデータから「Aを買う人はBの観点を気にする」「Cが好きな人はDも好きなことが多い」などの行動傾向を学習する。自動で学習を進めるため、人間による情報の打ち込みは不要。膨大な情報を幅広く学習することが可能だ。

 その他に、専門家の知識や他社の顧客データが使用可能な場合は、追加学習させることもできる。

 次にAIは、学習したモデルに、自社の顧客の年齢や性別、居住地・職業・家族構成・年収など人口統計学的なデータ情報をあてはめる。趣味や嗜好、価値観、習慣などのデモグラフィック情報も同様だ。ここから「顧客に似た人」の行動傾向をベースに、段階的に顧客の特性を推論していく。

 企業はマーケティングの際、顧客の属性や特性を把握し、最適な情報を最適なタイミングで届けることが求められている。だが自社製品の購買履歴だけでは、他の分野での嗜好など幅広い顧客特性を知ることができなかった。

 そのためWebサイトの閲覧で得られるクッキー情報を用いて、広告配信会社で共有するクッキーシンクが用いられてきたが、近年プライバシー保護の観点から問題視されている。またオンライン上の活動しか把握できないという課題もあったため、これらを解決すべく、NECは新技術を開発した。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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