介護事業注力で高齢者層深耕:フランスベッドの今を覗く

2022年11月30日 08:00

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2022年5月にリニューアルオープンしたフランスベッド赤坂ショールーム。(画像: フランスベッドホールディングスの発表資料より)

2022年5月にリニューアルオープンしたフランスベッド赤坂ショールーム。(画像: フランスベッドホールディングスの発表資料より)[写真拡大]

 フランスベッドホールディングス(東証プライム、以下フランスベッド)の収益動向が、変化を感じさせ始めている。2019年3月の営業利益は9.3%減益。翌20年3月期に5.4%の増益に転じた後30.3%、20.7%の増益。今期も「5.7%の増収(575億円)、7.1%の営業増益(42億円)、3.6%の最終増益(26億5000万円、最高益更新)」計画で立ち上がった。

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 フランスベッドはいま、介護事業を軸に高齢者市場の深耕に注力している。

 1949年に、故池田実氏により前身企業(スクーター用シート製造)が設立された。その名を世に広めたのは1956年の、分割式(2つに分かれる)マットレスベッド(フランスベッド)。脚立付きで、搬入・搬出・掃除等が容易なベッド。社名を商品名に変えるほどのヒットとなった。

 フランスベッドのセグメントは、(レンタル軸の)福祉介護用品貸与事業の「メディカルサービス事業」。そして「インテリア健康事業」が両輪。前期の売上高で見ると前者が5.0%増収の344億8400万円、後者が1.2%増の194億1900万円。

 高齢者市場の深掘りは、双方の事業展開で確認できる。

『メディカルサービス』: 在宅介護需要の高まりを受けM&Aも駆使した、東名阪エリアの介護福祉貸与の営業拠点や消毒・メンテナンス拠点の拡充。商品戦略では、注力商品「マルチポジションベッド(ボタン操作ひとつで寝る状態・背上げ脚上げで角度調整:リラックス状態・端坐位・立ち上がり移乗サポートが可能)」のTVCMを開始。

 スタッフ不足が指摘される病院・福施設向けに「見守りケアシステムベッド」の営業強化。ベッドのセンサーが、「動き出し」「起き上がり」「端坐位」「離床」を感知しスタッフに状況を伝える。離床後、一定時間戻らない時は「緊急事態」が通知される。

『インテリア健康』: 長引くコロナ禍で除菌機能を標準搭載した、ライフトリートメントマットレスが伸長。寝たままの状態で全身マッサージが可能な、ベッド型マッサージ器を発売。環境配置型解体システムモアリーを開発(マットレスを分別資源化するための解体製品、21年度のグッドデザイン賞受賞)。

 と言った具合だ。

 フランスベッドでは至2024年3月期の中計が進行中。「売上高590億円(21年3月期比12.6%増)、経常利益48億円(同39%増)」を目標として掲げている。セクター別ではメディカルサービス部門が「14.8%増収(377億円)、35.5%経常増益(38億円)」、インテリア健康部門が「11%増収(213億円)、2.49倍(10億円)」。着実な歩みを、という計画。

 過去を振り返っても、株価動向に華やかさ等は探しづらい。だがいまがそうであるように、予想税引き後配当利回り(3%)は光り続けている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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