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人工臓器などへ自由自在に加工可能な生体適合性材料を開発 名大
今回の研究の概要(画像: 名古屋大学の発表資料より)[写真拡大]
名古屋大学は21日、優れた生体適合性を持ちながら、柔らかく、強靭な新しい生体適合性材料の開発に成功したと発表した。研究グループによれば、この新規材料は、3Dプリンターを使って自由自在な加工が可能であり、人工臓器や人工血管への応用が期待できるという。
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■これまでの生体適合性材料PMEAの問題点
PMEA(ポリ(2-メトキシエチルアクリレート))は、優れた血液適合性を持ち、血液と直接接する医療器具などに幅広く応用されてきた。例えば、コロナ禍で広く知られるようになったECMO(対外式膜型人工肺)などである。
だがPMEAは、ポリマーであるため、柔らかい反面、粘着質で加工が難しく、コーテイング材料などに応用範囲が限られていた。
今回研究グループが開発した新規材料は、このPMEAの欠点を克服し、その応用範囲を格段に拡大するものである。
■シリカ微粒子を加えることでPMEAを強靭化
研究グループは、PMEAに大きさ100nmの硬いシリカ微粒子を高濃度で加えることで、柔らかいにもかかわらず、なかなか切れないという強靭性を与えることに成功。これにより加工を格段に容易にした。なおPMEAにシリカ微粒子を加えたことによる血液適合性への影響は、ほぼ無いことが確認されている。
研究グループによれば、この新規材料は、光造形式3Dプリンターを使い、自由自在に加工することが可能だという。光造形式3Dプリンターとは、液体化した材料に光を当てて硬化させ、自由自在に造形する方式の3Dプリンターをいう。
このように加工が容易になったことから、複雑な形状を持つ人工臓器や人工血管などへの応用展開が期待できるという。
現在、iPS細胞などを使った人工臓器の研究開発が盛んにおこなわれている。優れた生体適合性を持つ素材が、3Dプリンターを使ってさまざまな人工臓器に自由自在に加工できるならば、その研究開発の大きな手助けとなるに違いない。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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