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スリランカの破産が世界経済に与える影響は?
コロンボの独立記念広場 (c) 123rf[写真拡大]
●スリランカが破産
スリランカは7月5日、ウイクラマシンハ首相が議会演説で国の破産を宣言した。
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ロイター通信の報道によると、ガソリンは供給停止となり、約2000万人以上の国民が食料・医薬品不足に陥り、最大都市のコロンボでは50%以上のインフレ率に見舞われている。
9日に大規模でデモが発生し、群衆が大統領公邸を占拠した。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は辞任の意向を固め、モルディブに脱出し、シンガポールに移動したとみられる。
これから、最大の債権国である中国らと債務交渉に入るが、双方にとって厳しい交渉になりそうだ。スリランカの破産が世界にどのような影響を及ぼすのか?
●スリランカはどんな国?
スリランカはインド洋に浮かぶ島国で、面積は北海道の8割ほど。緑豊かな島で農業と繊維状が盛んであり、インド洋の真珠と言われている。紅茶やゴムの産地として知られている。
1948年に英国から独立後、セイロンという国名だったが、1972年からスリランカに改称した。
1983年からは政府軍とタミール・イスラム解放のトラ(LTTE)との内戦が激化。2009年、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の兄マヒンダ氏の大統領時代に反政府勢力を制圧し、国民の支持を得た。
2019年にゴタバヤ氏が大統領選で勝利し、マヒンダ氏を首相に据えるなど、一族で主要ポストを固め、権力を掌握。2020年からのコロナ禍で観光業が打撃を受け、2021年には化学肥料の使用禁止で農業が崩壊。2022年からのウクライナ危機で、食料とエネルギー危機に陥ったことがとどめを刺した。
●世界的な金融危機に?
今回のスリランカの破綻は、ラジャパクサ政権の中国依存も一因とみられる。
インフラ工事に多額の金を出すが、経済的な自立を失い、中国依存度がさらに高まり、政治腐敗が進むという悪循環を指摘する声もある。
スリランカは中国国有企業に99年租借したハンバントタ港を持っており、物流拠点として存在が増していたことや観光産業への期待から第2のシンガポールとの期待も高かった。
今回のスリランカ破による直接世界経済への影響は今のところ大きくはないが、今後第2、第3のスリランカが出てくることが警戒される。
コロナ、ウクライナ危機、そして中国依存の悪循環で、スリランカ予備軍は存在する。次の破産国によって、さらなるサプライチェーンの混乱やインフレリスクが警戒される。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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