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ケンゾー 2023年春夏コレクション - NIGOと髙田賢三、現在と過去の視点が交わる先に
ケンゾー(KENZO)は、2023年春夏ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。
■解釈と洗練、再構築
NIGOがアーティスティック ディレクターに就任して2シーズン目となる今季は、前シーズンのデビューコレクションで構築した世界観をより広げ、洗練させていく。シーズンを迎える度に新たなアイディアを打ち出してきたケンゾー創設者の髙田賢三の姿勢に刺激を受けたNIGOは、ケンゾーのコアを支えるレディ・トゥ・ウェアの哲学を解釈し、より磨き上げることで、新しくフレッシュなスタイルを提示する。
■“DCブランドブーム”に着目
NIGOの視点と髙田賢三の視点が交わる部分をもとに、ケンゾーのスタイルを解釈、再構築するプロセスにあたり、今回着目したのが1980年代の日本のDCブランドブームだ。ちょうどNIGOがティーンエイジャーを謳歌していた時代のケンゾーと、DCブランドが脚光を浴びた時代のファッションの風景、パリへの憧れを喚起させるエッセンスが、今季のコレクションを賑やかに彩っている。
例えば、複雑な模様のインターシャニットやバーシティジャケット、動物モチーフをアップリケであしらったジレなどが、DCブランドの要素を象徴的に落とし込んだアイテムとして挙げられる。カレッジペナントのロゴワッペンを並べたワークジャケットや、様々なデザインの織ネームタグをグラフィカルにレイアウトしたベストは、ロゴとラベルの再開発に愛情を注いでいた髙田賢三へのオマージュと言えるだろう。
■マリンルックのエッセンス
また、1980年代のパリのクチュールを彷彿させるマリンルックも散見されたスタイル。チェック柄ジャケットやバーシティジャケットなど、本来マリンテイストとは異なる文脈のアイテムにあえてセーラーカラーを合わせることで、新鮮な佇まいを描きだしている。
クリーンなホワイトのデニムジャケットとパンツのセットアップにスカーフを合わせたルックや、裾や襟などにユニフォームライクにラインを施したシャツ、制服の側章のようにサイドラインを配したジャージパンツ、そして勲章風のコサージュを飾ったレースつきデニムジャケットなど、マリンルックの要素を抽出し、異なる文脈のアイテムと折衷させたデザインが目を引いた。
■アーカイブモチーフの引用と再解釈
アーカイブのモチーフを引用し、グラフィカルに表現したピースにも注目だ。1988年秋冬コレクションのモチーフを波打つように歪めたウェービーストライプのセットアップは、服地の流れと柄が呼応してだまし絵のような遊び心をプラス。また、1992年秋冬コレクションに着想を得たウェービーチェック柄ロングジャケットや、1993年春夏コレクションのモチーフを参考に、ポプリン、オックスフォード、チェック地、ストライプ地を繋ぎ合わせたジャカードパッチワークのワンピースなども登場している。
■ワークウェア&英国プレッピーのシルエット
ケンゾーのアーカイブや、80年代ファッションの解釈と洗練、再構築の流れの中で、“シルエット”はNIGOの独自性が一際表れるポイントの1つ。
プレッピーな雰囲気のグレンチェック柄スーツやタータンチェックのセットアップは、英国サブカルチャーのムードを漂わせている。一方で、ワークジャケットや大きなポケットのついたパンツ、サスペンダー付きパンツなどは、1930、40年代のアメリカの鉄道労働者と軍隊の修理工のユニフォームから着想。アイテムの持つ従来の文脈や空気感を生かしつつ、ケンゾーの過去、現在、そして未来をも思わせる1つの世界観を投影しているのが印象的だ。
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