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5月4日に公開された『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、最強の魔術師・ドクター・ストレンジの活躍を描くスーパーヒーロー映画。マーベル・コミックスの実写映画化シリーズであるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の、28作目となる。
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あらゆる次元を行き来する能力を持った少女、アメリカ・チャベスの命を狙う魔女、スカーレット・ウィッチ。彼女の暴走を止めるため、ドクター・ストレンジは魔法を駆使して異なるユニバースを駆け巡ることになった。
今回はこの映画から、作品の鍵となるセリフを紹介したい(一部ネタバレも含む)。
■ You break the rules and become a hero. I do it and I become the enemy. That doesn't seem fair.
今回のヴィランは、MCUでは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』以来おなじみの、ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ。Disney+のドラマ『ワンダヴィジョン』で彼女は、恋人を失った悲しみから、ある町の全住民をマインド・コントロールで支配していた。
さらに禁断の書『ダークホールド』をどこからか手に入れたスカーレット・ウィッチは、アメリカ・チャベスの力を奪おうとする。彼女の力も利用することで、自分の夢見る幸せな家庭が手に入る、と考えているのだ。
上にあげたセリフは、ドクター・ストレンジに対して自分の行為を正当化しようとするスカーレット・ウィッチのセリフ。 「You break the rules and become a hero」は、過去にドクター・ストレンジが仲間の命と引き換えに、サノスにタイム・ストーンを渡したことを指す。
これに対してスカーレット・ウィッチは、ささやかな幸福のためにルールを破ろうとしただけなのに、敵視されるのは不公平だ、と言うのである。
ここで自動詞seemは、「~であるように思われる」というとき、to beが省略されることが多いことに注意されたい。
■ Choose your words wisely. The fate of the multiverse may depend on it.
アメリカ・チャベスは、至高の魔術師ウォンたちの手で、カトマンズにある魔術の修行場、カマー・タージに匿われることになった。しかし事情を知らないドクター・ストレンジが、スカーレット・ウィッチとコンタクトを取ったため、カマー・タージは彼女の襲撃を受けることになる。
決戦の直前、スカーレット・ウィッチに最後の説得を試みるドクター・ストレンジ。ウォンは彼に「言葉を慎重に選べ、マルチバースの運命がかかっているかもしれない」と忠告する。
Choose one’s words wisely (or, carefully)は、「言葉を慎重に選ぶ」と言いたいときの簡潔な言い方として覚えておきたい。
■ Just because someone stumbles and loses their way, doesn't mean they're lost forever.
複数の作品の世界観を共存させる「マルチバース」の最大の利点は、過去の作品のキャラクターをいくらでも再登場させられることにある。
今回の映画では、ディズニーが買収で旧20世紀フォックスから映画化権を取得した、「X-Men」などの作品のキャラクターが何人も登場する。
ここに紹介したのは、「X-MEN」シリーズのプロフェッサーX/チャールズ・エグゼビアのセリフ。「間違って道を踏み外したからと言って、永遠に正道を踏み外したことにはならない」という意味になる。
数多くの難しいミュータントたちを育ててきたプロフェッサーXらしい言葉ではないだろうか。
Just because A, (it) doesn’t mean Bの構文は、「Aであるからと言って、必ずしもBとはならない」と、AからBが帰結する必然性がないことを表す。
■ I've come here to tell you to trust yourself, trust your power.
今回の映画におけるアメリカ・チャベスは、極度の恐怖感におそわれるとマルチバースを移動できるのだが、まだ自分でその力を制御できない。スカーレット・ウィッチとの決戦でドクター・ストレンジは、自分の能力に自信を持つように彼女を激励した。
「自分に自信を持つ」という意味の類似の表現に、一般的に「自信を持つ」という意味のbelieve in oneselfもある。これに対してtrust oneselfは、能力があるから、あえて難しいこともやってのける自信を持つ、というようなニュアンスである。
■ I remain grateful in this one. Even with its tribulations.
ウォンはドクター・ストレンジが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でサノスによって消された間に、至高の魔術師に就任した。現在ではMCUの最も重要な常連キャラクターとして、数々の作品に登場している。
本作の結末でも、ウォンはドクター・ストレンジにこの世界に生きる素晴らしさを、上のような印象深いセリフで語る。
Gratefulは「感謝している」という意味の形容詞。I remain grateful to you for everythingのように、感謝を伝えるのに使える。
Tribulationsは「苦難」を意味する名詞で、現在はtrialsとペアとなり複数形で用いられることが多い。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)
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