どちらも「賢い」? 英語の「smart」と「clever」の微妙な違い

2022年4月11日 07:28

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 今回も、日本人にとって区別のしにくい2つの英単語を紹介したい。形容詞の「smart」と「clever」だ。日本語ではどちらも「賢い」や「頭のいい」と訳されることが多く、それほど違いはないように感じるが、実は微妙に意味合いが違う。では、どんな違いがあり、どのように使い分ければよいのだろうか。

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■smart

 「smart」の基本的な意味は、知性があること、また、その知性を使えることである。日本語の「賢い」や「頭のいい」とほぼ同じニュアンスと考えてよいだろう。「A smart person knows how to use his knowledge.」という例で覚えておくとよい。また、「Reading many books is the best way to become smarter.」のように比較級にもできる。

 「smart」には、「おしゃれな」や「スタイリッシュな」という意味もある。日本語でもファッションやスタイルを指してスマートということがあるが、同じように考えてよい。「a smart jacket」で「おしゃれな(スタイリッシュな)ジャケット」として伝わる。ただし、この意味での「smart」は、イギリスではよく用いられるものの、アメリカではあまり一般的ではない。

■clever

 「clever」も、基本的には「smart」と同じく、知性のある人のことを指す形容詞だ。「A clever person solves problems by using his intelligence.」のように解説する英語の辞書もある。なお、比較級の場合、「I think I am cleverer than him.」のように「clever」を変化させて使ってもよいが、「cleverer」、「the cleverest」より「more clever」、「the most clever」の方が一般的だ。

 「smart」との違いで注意しておきたいのは、「clever」の場合、よりクリエイティブで独創的というニュアンスが加わることだ。たとえば、「That’s a (空欄) idea!」という感嘆文があったら、そこには「smart」ではなく「clever」が入ることになる。

 また、「clever」には「器用な」という意味もある。「You are clever with your hands!」なら、まさに「手先が器用ですね!」ということだ。

■捉え方は人それぞれ

 「clever」についてさらに言うなら、英和辞典には「悪賢い」、英語の辞書でも「cunning」や「sly」といった意味が掲載されているように、悪い意味で使われる場合があることである。そのため、人を褒める場合は「You are so smart!」であり、「You are clever」とは言わないようにという解説を見かけることもある。

 ただ、こうした微妙なニュアンスの違いは、地域差、世代差、さらに個人差が大きい。ネイティブでも逆の意味に解釈されることもあるので、あまり厳密に考えすぎない方がよいだろう。捉え方は人それぞれと割り切って、どんどん実地で使っていくのがよいだろう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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