関連記事
「ここまで成長するとは・・・」と驚嘆のエランの二の手・三の手
初めて知った時は「面白ビジネスの会社だな」と感心はするが、失礼ながら「ここまで伸びる会社だと思わなかった」という企業に時として出会う。
【こちらも】入院生活を支える、エランとはどんな会社か
エラン(東証1部)を知ったのは、数年前の入院時だった。「CSセット」と呼ばれる院内着にはじまり、歯磨きセット・複数枚のタオル・(院内用)履物・入れ歯入れ(洗浄剤付き)・白湯飲み器・ティッシュペーパー・ウエットティシュ・ブラシetc日常生活の必需品をサブスクでレンタルする会社だ(2014年に東証Mに上場)。
数点のCS(ケアサービス)品を利用した。生活必需品を自前で持ち込み適宜交換・洗濯等で家人の手を煩わせなくて済む。病院側にとってもCS品はエランが回収し自前のリネンサプライ専用洗浄施設で洗うため、手間暇かからず、「院内感染」の懸念も払拭できる。
確かに「便利さ」は感じたが、まさかここまで急成長を続ける企業とは・・・。上場以来前12月期まで連続の増収増益を続け、今期も連続継続/史上最高益更新計画。改めて、取材した。
病院や介護施設向けにCSセット事業を開始したのは、2003年。現在全国に22の営業拠点を構え「1814(病院・介護)施設」で導入され、「月間の利用者34万1410人」に達している。
事業拡大の背景には一口で言うと、高齢化社会がある。総務省の「人口推計」は2022年2月1日現在の全人口に占める65歳以上の人口は3620万1000人、総人口の28.8%を占めるとしている。エランのキャッチコピー、「(病院・介護施設に)手ぶらで入所、手ぶらで退所」が持つ意義は大きい。それが収益動向にも反映されているというわけだ。
前12月期は「21.4%増収、35.3%営業増益、31.8%最終増益、(20年の)株式分割を勘案すると2円増配9円配」。今期も「17.0%の増収(173億円)、7.2%の営業増益(30億円)、4.9%の最終増益(20億円)、1円増配10円配」で立ち上がった。
ニーズの高まりは競争相手を生む。エランは業界への新規参入組の差別化を図るため「無借金・豊富な利益剰余金/好財務体質」「豊富なFCF」を武器に、「CS R」(病院に対する入・退院時金保証業務)乗り出していた。それが前期末で101施設と契約中と知らされた。
また本丸(取引病院)拡充策とし、中小病院への電子カルテ販売に注力の構えを見せていた。「進捗具合はどうか」という問いに広報担当者は「50―200床規模の(中小)病院では費用面の問題で、電子カルテル化は進んでいない」と正直に打ち明けながらも、「CSセット+αで病院は費用を抑えて電子カルテが導入できる。ただ現状で『α』については非公開です」と「ここからが攻めの場」とする姿勢を示した。
気づいたら上場市場は東証1部に移行していた。14年11月の上場初値に対し本校作成中の時価は、株式分割等を勘案した修正値で6倍近くのパフォーマンスを残している。株式市場は、エランをしっかりと見抜いていたということのようである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク