星野リゾート、「OMO7大阪」に国内初の外装膜導入 日射負荷を低減

2022年3月16日 08:27

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OMO7大阪の外観イメージ(画像:星野リゾートの発表資料より)

OMO7大阪の外観イメージ(画像:星野リゾートの発表資料より)[写真拡大]

  • OMO7の建物外装膜のメージ(画像:星野リゾートの発表資料より)
  • 外装膜によるヒートアイランド現象の緩和状況(画像:星野リゾートの発表資料より)

 星野リゾートは15日、4月に開業予定の「OMO7(オモセブン)大阪」の建物外装に、膜を張る建築設計を導入していることを明らかにした。環境負荷軽減を目指したもので、国内での導入は初。外装膜設計の導入で日射負荷を下げ、ヒートアイランド現象の緩和につなげる。

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 OMO7大阪の建物には、壁面に白い膜材である「フッ素樹脂酸化光触媒膜」で覆う建築設計が取り入れられる。設計技術は、建築設計事務所の日本設計、膜材開発や膜構造建築を手がける太陽工業、建築材料の製造販売などを行っている不二サッシが構築し、現在特許出願中という。

 光触媒膜は、汚れても太陽光と雨の力で自浄する有機物分解機能を持つ膜材だ。膜表面の光触媒が太陽光(紫外線)の力で活性酸素種という分子群を生成し、汚れを酸化分解。雨が降ると雨水が汚れを浮かせて洗い流す。太陽工業の大型テント建築などに用いられている。

 フッ素樹脂酸化光触媒膜は、建物の外装に張ると、太陽の放射エネルギーである日射などの光の78.5%を反射・拡散し、12.7%を透過・拡散する。日射量の比較検証でも、外装膜がある場合は付けない状態よりも、窓から入る日射量の30~45%を軽減したとの結果が出ている。ホテル開業後は、冷房稼働電力の消費量削減を見込んでいるという。

 日射量を減らす外装膜は、ヒートアイランド現象緩和にも寄与する。ヒートアイランド現象の要因の1つは、アスファルトやコンクリートなどが日中に蓄えた太陽熱を夜間に放出するためで、それが気温の低下を妨げる。気象庁によると、大阪の年平均気温の約100年あたり(1927-2020年)の上昇率は2.6度で、東京3.3度、名古屋2.9度に次ぐ上昇傾向にあるという。

 外装膜で覆った建物では、日射の反射・拡散などで保持する太陽熱が減るため、放射熱を低減できる。併せて敷地の半分程度にあたる約7,600平米の広さでガーデンエリア「みやぐりん」を設け、緑地による冷却効果を生み出し、さらなる温度低下を図るという。

 またOMO7大阪では、外装膜やみやぐりん以外にも環境に配慮した設備を設置。冷暖房負荷抑制につながるガラスや断熱材、高効率エアコンやLED照明(全館)などの設備を用いて、環境負荷軽減につながる各種技術を建築に取り入れたという。

 OMOは、星野リゾートが第4のブランドとして展開している都市型観光ホテルで、現在全国で10施設を運営。街歩きをサポートするサービスや地域観光スポットでのイベントなどを提供し、特に若年層から支持を集めている。

 OMO7大阪はその最新施設として、大阪市浪速区で2019年6月から工事が進められてきた。建設期間中は新型コロナウイルスの感染拡大時期と重なったが、着工当初の計画から遅れなく、22年4月22日に開業を迎える予定だ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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