NYの視点:ECB利上げ過熱感一服、政策の行方、3月会合待ち

2022年2月8日 09:03

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記事提供元:フィスコ


*09:03JST NYの視点:ECB利上げ過熱感一服、政策の行方、3月会合待ち
欧州中央銀行(ECB)は先週開催した定例理事会で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。同時にインフレ高進が想定以上に長期化したとし、ラガルド総裁は年内の利上げの可能性を否定しなかった。このため、想定外にタカ派色が強まったとの見方に、金利先物市場はECBの年内の利上げを織り込んだ。

市場では9月の利上げ観測が強まったほか、ECB政策メンバーのクノット・オランダ中銀総裁も「早くて10月の利上げもある」と言及。ギリシャ債やイタリア債など、欧州債の利回りは20年4月以降パンデミック後の高水準に達した。

しかし、ラガルド総裁は7日、欧州議会での公聴会で、パンデミック抑制規制が年初から成長を損ねているとし、供給やエネルギー不足が短期的に活動を抑制していると指摘。今年後半、経済が強く回復、「インフレ見通しのリスクは上方に傾斜している」と見ており、以前よりインフレを警戒し始めていることは確か。同時に、経済が過熱の兆候を見せておらず、3月の経済予測で状況がより明らかになると指摘。時期尚早の判断を回避する姿勢を示した。また、いかなる政策修正も緩やかなペースで行うと加えた。

金融政策はあくまでもデータ次第としたため、年内の利上げへの論議の過熱感もいったん沈静化。欧州債利回りの上昇も一段落した。ECBの年内1回の利上げの可能性は強まったが、3月定例理事会までは様々な思惑にユーロは堅調ながらもみ合いが続く可能性がある」《FA》

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