ジェイテクト製の高耐熱リチウムイオンキャパシタ搭載車、ダカール・ラリーで完走

2022年1月27日 15:36

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ダカール・ラリー2022に参戦した日野チームスガワラ(画像:ジェイテクト発表資料より)

ダカール・ラリー2022に参戦した日野チームスガワラ(画像:ジェイテクト発表資料より)[写真拡大]

 1月1日~4日にウジアラビアで開催された「ダカール・ラリー2022」において、ジェイテクト(本社愛知県刈谷市)の高耐熱リチウムイオンキャパシタを搭載した日野チームスガワラが、トラック部門において総合22位で完走した。

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 ダカール・ラリーは、砂漠から泥濘地、山岳地帯まであらゆる路面を走破して競い合う「ラリーレイド」と呼ばれる競技の中でも、世界一過酷なイベントとして知られている。日野チームスガワラは、初のレース用ハイブリッドシステム搭載車で参戦し、完走を果たした。

 「リチウムイオンキャパシタ」とは、バッテリーや蓄電装置の種類のことで、リチウムイオンを添加してエネルギー密度を高めた蓄電器だ。一般にキャパシタとコンデンサーは、英語表記にすると共に「Capacitor」のため同じ意味であったが、最近は大容量のものをキャパシタ、そして以前からある小容量のものをコンデンサーと使い分けている。

 蓄電器のため、バッテリーに似てはいるが、キャパシタの強みは高い出力密度とエネルギー密度を兼ね備えていることだ。バッテリーより瞬発的、かつ多くの電気を放出できる。

 今回搭載された高耐熱リチウムイオンキャパシタは、-40度から85度という業界トップクラスの動作温度範囲を持つ。自己発熱による劣化を大幅に抑制し、高付加連続使用時での高耐久性を実現した。発火しにくい材料構成により、高い安全性を持つことも特徴だ。

 リチウムイオン電池とリチウムイオンキャパシタの違いをもう少し述べると、リチウムイオンキャパシタは、充電性能は秒単位の充放電が可能で、低温、高温特性が良く、自己放電は少ない。リチウムイオン電池は保守管理が不可欠であるのに対し、リチウムイオンキャパシタはメンテナンスフリーで寿命が非常に長いことも、メリットとなる。

 ドライバーでチーム代表でもある菅原照仁氏によれば、今回のレースはこれまでよりも多くのトラブルに見舞われたという。だが全てレース本番でなければ確認できない部分であったとしており、今回の結果は将来にも繋がるとも述べている。

 これまでも数々の新技術がレースから市販車にフィードバックされてきたが、この新しい高耐熱リチウムイオンキャパシタが市販車にフィードバックされれば、安全性向上や充電時間短縮に繋がることも期待される。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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