WhatsApp、米政府の命令で中国とマカオのユーザーを追跡

2022年1月23日 20:28

印刷

記事提供元:スラド

WhatsApp が米政府に命じられ、中国とマカオのユーザー計 7 人を追跡していたと Forbes が報じている(Forbes の記事South China Morning Post の記事)。

ユーザー追跡の根拠となる法律 1986 Pen Register Act によれば、捜査当局は特定のユーザーについて発信先の記録 (pen register) や着信元の記録 (trap and trace device) を通信会社に命じることができる。記録するのは相手の電話番号や位置情報などに限られ、通信内容は含まれない。追跡するユーザーを識別可能な電話番号などがわかればよく、そのユーザーが誰なのか具体的にわかっている必要もない。今回の 7 人も電話番号のみで追跡が行われた。

今回の追跡は麻薬取締役局 (DEA) が命じたもので、公表された電話番号から違法薬物の取引に関連するものとみられる。ただし、命令に必要なのは申請書を作成した検事または捜査当局担当者の名前と捜査当局の名前、追跡により得られる情報が当局により捜査中の事件に関連するとの証明書のみであり、追跡を行うための相当な理由を判事にも市民にも説明する必要はないとのこと。

Forbes によれば、米捜査当局は過去 2 年間 WhatsApp にユーザー追跡を繰り返し命じているそうだ。今回の件は米当局が国内および隣国のユーザーだけでなく、全世界に追跡対象を広げていることを示すものだという。追跡は合法的なものであるとしても、相当な理由が説明されない点は懸念される。しかし、全米市民自由連合 (ACLU) などによる長年の働きかけにも関わらず議会で問題解決に向けた動きはないとのことだ。 

スラドのコメントを読む | ITセクション | 犯罪 | 医療 | IT | アメリカ合衆国 | 中国 | Facebook | プライバシ

 関連ストーリー:
米FCC、華為やZTEなどの通信機器や監視機器を排除する新規則 2021年06月23日
楽天グループ、日米両政府の監視対象になる 2021年04月21日
欧州司法裁判所、EU・米国間のデータ共有協定取り下げを決定。米国企業に影響か 2020年07月20日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事