カレーに認知機能を保つ効果 日本人対象の調査でも ハウス食品の研究

2022年1月9日 07:33

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認知機能を保つ効果が期待されるカレー

認知機能を保つ効果が期待されるカレー[写真拡大]

 ハウス食品グループ本社(東京都千代田区)は7日、カレーの摂取が認知機能を良好に保つ効果があるとの研究成果を公表した。カレーに含まれる多様なスパイスが、高齢者の認知機能維持に役立つ。シンガポールでは既に同様に研究成果が報告されているが、日本の中高齢者を対象とした調査は今回が初めてだ。

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 研究では、50歳以上の中高齢者を対象に、調査直前1年間の「短期」と、成人以降調査1年前までの「長期」のカレー摂取について調べた。認知機能スコア変化のリスクは、カレー摂取が月1回では0.834だが、月2~3回では0.754、月4回以上だと0.718と低くなることが明らかになったと言う。

 もともと、シンガポールの疫学研究ではカレーと認知機能の関係について良好な効果をもたらす可能性が示唆されていた。だが、人種や食べているカレーの種類、喫食状況などの異なる日本人でも同様の効果が出るかは分かっていなかった。

 そこでハウス食品グループ本社は、東京大学の五十嵐中客員准教授や二松学舎大学の小久保欣哉准教授との共同研究を実施。メディリードの調査協力も得て、効果ありとの結果を日本未病学会学術総会で発表した。

 同社は認知機能以外にも、2019年にはカレーにPM2.5の炎症反応を抑える効果があると発表した。ウコンやコリアンダー、クローブ、桂皮が作用していると考えられている。PM2.5による呼吸機能低下の予防策になる可能性を示した。

 また2014年には、動脈硬化の予防にもつながると報告している。食後には通常、酸化ストレスが増えて血管内皮機能が低下するが、カレーを食べた場合は低下するのではなく、むしろ改善することが分かった。

 日本人の国民食として家庭でも外食シーンでもなじみ深いカレー。抗炎症物質や抗酸化物質を含んだ様々なスパイスが材料となっていることから、健康増進に効果があると見込まれている。同社は今後も、カレー摂取の健康効果について、継続して研究していく方針だと言う。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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