【映画で学ぶ英語】『マトリックス レザレクションズ』の名言5選

2021年12月29日 12:06

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 12月24日に公開された映画『マトリックス レザレクションズ』は、SFアクション「マトリックス」シリーズ約20年ぶりの長編映画だ。

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 仮想空間で機械に支配される人類を開放するため立ち上がった、人間たちの戦いを描いた同シリーズ。1999年に1作目が公開されたときから、斬新な映像技術や21世紀のメディア社会を先取りするようなプロットでカルト的な人気を誇っている。

 同シリーズの主人公・ネオや、ヒロインのトリニティがオリジナルキャストで復活することでも注目を集めている『マトリックス レザレクションズ』。全編に「マトリックス」3部作(1999~2003年)からの引用が散りばめられ、ファンには堪えられない作品だ。

 今回はこのような『マトリックス レザレクションズ』から、シリーズの過去作とのつながりを示す重要なセリフを紹介しよう。

■ They (Stories) never really end, do they?

 「レザレクションズ」はシリーズ3作目「レボリューションズ」から何十年も後の世界。前作で自らを犠牲にして機械と人類が共存する平和をもたらしたネオは、何故か再び仮想空間に閉じ込められている。

 この世界でネオは、アンダーソンという名前のゲームデザイナーになっており、ネオの物語は過去に自分が開発したゲームだと信じ込んでいる。

 そんなアンダーソン/ネオにゲーム会社のパートナーであるスミスは、「マトリックス」シリーズ続編製作の話を持ちかけてきた。1度完結した物語を再開することに難色を示すアンダーソン/ネオに、スミスは「物語に終わりはないのではないか」と言う。

 実際、過去3作の共同監督・リリー・ウォシャウスキーは続編の製作に反対していた。しかし両親が相次いで死去したことをきっかけに、もう1人の共同監督であるラナ・ウォシャウスキーは、かつてのキャラを復活させることに踏み切った。このセリフはそのようなラナ・ウォシャウスキー監督のメッセージとも解釈できるかもしれない。

 セリフの後半、do theyは付加疑問。主節が否定形(このセリフではnever)である場合、付加疑問の節は肯定形になることを確認しておきたい。

■ What made Matrix different? It effed with your head.

 アンダーソン/ネオの同僚が「マトリックス」シリーズの特徴を一言でまとめたセリフ。「マトリックスを他と違うものにしたのは何か? マトリックスはひとの頭をメチャクチャにした」という意味である。

 Effという動詞はfuckの代わりに使われる単語で、70年以上前からその使用が確認されている。ここではmess upとほぼ同じ意味と言えよう。

■ I wasn't too sure about the callback, but, you know, it was hard to resist.

 会社のトイレで突然アンダーソン/ネオの前に姿を現したかつての同志・モーフィアス。「At last(ようやく会えたな)」とシリーズ1作目で2人が出会ったときのセリフを放ったものの、アンダーソン/ネオは唖然とするばかり。

 そこでモーフィアスは「思い出すか自信なかったけど、我慢できなかったから」とフォローした。

 Callbackはこのセリフでは「呼び戻す、思い出させる」という意味のイディオムcall backの名詞化と解釈するのがよいと思う。Callbackという名詞はビジネスの世界では製品回収、一時帰休後の職場復帰、勤務時間外の職場への呼び出しといった様々な場面で使われる単語だ。

■ You gave that gift to us all. And it is the gift that continues to bear fruit.

 ジェイダ・ピンケット・スミス演じるナイオビは、モーフィアスの後を継いで反乱の指導者となった人物。本作では復活したネオにそれまでの歴史を語るなど重要な役割を果たす。

 ネオが犠牲になって機械と人間の間に平和がもたらされたことは、すべてのものへの贈り物であった、とナイオビは言う。Giftとはただのプレゼントではなく、神から与えられた特別な贈り物、才能といった意味のある単語。

 そのgiftが今でも成果をもたらし続けている、と言うのだが、bear fruit(実を結ぶ)というイディオムが単なる比喩でないことはこの後の場面で明らかになる。

■ Originality mattered. You gave us Face-Zucker-suck!

 「リローデッド」と「レボリューションズ」で、ネオの宿敵の1人として登場したランベール・ウィルソン演じるメロヴィンジアンも、本作にカメオで登場する。

 すっかり落ちぶれて年寄りの浮浪者のようになったメロヴィンジアンだが、口は達者。「昔はよかった」と言ってFacebookやWikipediaといったネット文化を罵倒する。

 Originality matteredのmatterは「重要である」という意味の自動詞で、「昔はオリジナリティが重要だった」という意味になる。Face-Zucker-suckのFaceは、Facebook、ZuckはZuckerberg(ザッカーバーグ)、suckは「ペテン、失敗」の意味で、Zuckとsuckで韻を踏んでいる。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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