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葬儀大手:燦HDの今期設備投資2・2倍強の理由
「葬儀へのリモート参列サービス」も展開している。(画像: 燦ホールディングスの発表資料より)[写真拡大]
昨年3月10日の企業・産業欄に、『葬儀費用低下傾向の時代、老舗葬儀社は生き残れるのか』と題する記事を投稿した。新型コロナ禍の影響が深刻化し始めた段階で、「家族葬」に象徴される簡素な葬儀が話題になり始めた状況下だった。
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老舗として、燦ホールディングス(東証1部。以下、燦HD)を俎上に載せた。燦HDは傘下に、母体となった「公益社(首都圏・近畿圏)」をはじめ「葬仙(山陰圏)」「タルイ(兵庫南部圏)」を有していた。
今回、改めて燦HDを調べたのは「厳しいだろうな」という先入観からだった。矢野経済研究所では国内の葬儀ビジネス市場を、「2022年には前年比0.8%増にとどまり、40年に向かってこの(市場縮小)トレンドに変化はない」とレポートしている。
予想通り21年3月期は、「11.3%減収、17.5%営業減益」と厳しい決算となった。「葬儀の件数自体は3.4%増も、葬儀単価12.8%減の結果」と総括している。そして今3月期も「4.7%増収(197億6000万円)、0.8%営業増益(15億9000万円)」と慎重な計画でスタート。
だが開示済みの中間期は「(前年同期比)10.6%増収(95億1200万円)、117.1%営業増益(10億3800万円)」。「葬儀件数は12.7%増。大規模葬儀件数の増加・単価引き上げで、一般葬の葬儀単価の引き下げの影響を僅かながら抑えられた」と説明した。
昨今の説明される「コロナ患者発生減⇔ワクチン接種率効果」で、葬儀の世界は道程に微妙な違いが出てきたということだろうか。
前期決算後の「決算資料」を読んだ。「次期予想」の項で2つの発信情報に目を惹かれた。1つは今期予想の前提である。こんな内容が記されていた。
『【主な前提】(I)コロナ感染症については1年間を通じて影響が継続するものとする。(II)将来への戦略的な投資の積極的実施により、先行的費用の発生を見込む。
<営業収益>(a)葬儀件数は既存店の伸びと新店の上乗せにより、想定される死亡者数の増加率に見合う伸びを確保、シェアを維持する。葬儀単価は当期実績並みを維持する。(b)500万円超の大規模葬儀件数は増加を見込むが、コロナ前(20年3月期)の7割以下の水準とする。(c)葬儀会館の新規出店による増収を見込む。』
ポイントは、「コロナの影響継続でも前記の今期計画並みの売り上げ・営業利益を実現する/言い換えれば環境が好転すれば上回る収益が期待できる」であり「小規模葬儀にも対応しつつ、将来的な戦略投資を行い好収益な大規模葬儀に備える」』である。着目すべきは「c」であろう。
今期22億円の設備投資を計画している。前期比2.2倍強に相当する。燦HDでは「葬儀会館等の新規出店(9件)に15億円、会館等のリニューアル及びリロケーションに5億円、IT関連に2億円」と説明する。
同業他社では「無借金の好財務に加え、70億円余りの現金相当のFCFを有している。リニューアルは参加者20~30名規模への対応に注力している。新規も駅近150~200坪程度の平屋を中心と計画・実行している」と解説する。
老舗の底力を感じさせる・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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