11月の倒産、56年ぶりの低水準 コロナ関連はハイペース続く 東京商工リサーチ調査

2021年12月9日 07:27

印刷

 東京商工リサーチが11月の倒産状況を発表し、負債額に関わらず倒産件数は減る傾向にあるものの、新型コロナウイルス関連の倒産件数が高い水準で続いていることが分かった。

【こちらも】パブ・居酒屋、宣言解除後も売上回復せず コロナ前の5割に達せず

■倒産件数は6カ月連続でマイナス

 8日、東京商工リサーチが2021年11月の全国企業倒産状況(負債額1,000万円以上)を発表した。倒産件数は前年同月比10.36%減の510件となり、6カ月連続で前年同月マイナスに。11月としては1965年の509件以来の低い水準となった。

 負債総額は同7.83%減の941億100万円となり、4カ月ぶりのマイナス。LED照明や蓄電池を取扱うD-LIGHT(負債額:213億円)、パンの製造・販売のベルベ(同52億円)、ゴルフ場経営の高松グランドカントリー(同46億8,000万円)など負債額10億円以上の大型倒産は13件(前年同月比:6件減)と減少。負債額1億円未満の倒産件数は370件と全体の72.5%を占め、これまで同様に高い割合となっている。

 また新型コロナウイルス関連の倒産件数は同91.1%増の172件となり、3カ月連続で月間最多件数を更新した。1月から11月までの累計は前年同期比115.8%増の1,522件となっている。

■関東・関西ともに6カ月連続でマイナス

 産業別の倒産件数で最も多かったのはサービス業他の157件(前年同月比26.29%減、以下同じ)。次いで建設業が88件(8.33%減)、卸売業が72件(7.46%増)、小売業が65件(5.79%減)、製造業が64件(11.11%減)など。上記のほか、情報通信業が17件(5.55%減)で、10業種中5業種で倒産件数がマイナスだった。

 地区別では9地区中5地区でマイナスに。件数が最も多い関東が176件(11.1%減)、次いで多い関西が146件(13.0%減)となり、ともに6カ月連続でマイナス。また中国が16件(27.2%減)で15カ月連続のマイナス。そのほか、中部が75件(8.5%減)、九州が38件(19.1%減)となっている。

■小規模倒産も減少傾向ながらコロナ関連が高い水準

 同日、負債1,000万円未満の企業倒産状況も発表している。2021年1月から11月における負債1,000万円未満の企業倒産件数は、前年同期比25.0%減の437件だった。月別で倒産件数が前年同月比プラスとなったのは3月と5月のみとなっており、1年を通して倒産件数は低い水準で推移している。ただし、新型コロナウイルス関連の倒産件数は88件で、前年同期比2.4倍と高い水準が続いている。

 産業別で最も倒産件数が多かったのはサービス業の209件(前年同期比:20.0%減、以下同じ)、次いで建設業が62件(23.4%減)、小売業が60件(1.6%増)、卸売業が36件(30.7%減)と続き、10業種中6業種でマイナスとなっている。

 原因別では「販売不振」が323件(22.3%減)で、全体の73.9%と引き続き高い割合を占めているものの、6年ぶりにマイナスだった。このほかの原因では「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が22件(12.0%減)となり2年ぶりにマイナス。「事業上の失敗」は13件(64.8%減)、「運転資金の欠乏」は11件(26.6%減)、代表者の病気や死亡などを含む「その他」が28件(33.3%増)となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事