【映画で学ぶ英語】『Tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!』の名言5選

2021年11月30日 11:15

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 11月19日にNetflixで配信が開始された映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』は、実在の作曲家の半自伝的ミュージカルだ。

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 主人公のジョナサン・ラーソンは1996年に35歳で夭折したミュージカル作曲家。死の直前に完成したロック・ミュージカル『レント』が大ヒット、没後トニー賞やピューリッツァー賞が贈られている。

 『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』は、30歳の誕生日を目前に控えたラーソンが恋や人生、作曲家としての将来について悩む姿を描いたミュージカル。ラーソン自身による弾き語りのピアノとロック・バンドのみの編成で1991年に初演された。

 映画では、『ハクソー・リッジ』(2016年)などで知られるアンドリュー・ガーフィールドがラーソン役を務め、歌やダンスでも大活躍している。

 今回はこの映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』から、30歳を目前に焦る主人公をめぐる名言を取り上げてみたい。

■Everything you are about to see is true. Except for the parts Jonathan made up.

 映画の冒頭、ラーソンの恋人・スーザンの声で、この物語はすべて実話である、ただしジョナサンがでっち上げた部分は別として、とナレーションが入る。

 Except forは前置詞exceptと同じく「~を除いて」という意味だが、except forは文頭にも置くことができる。このため文頭で強調したいときに便利な表現だ。

■I’m allowing myself to be led by love.

 アルバイトを辞めて作曲に専念しようと決意したときのラーソンのセリフ。「思い切って愛に導かれることにする」という意味である。Allow oneself toは「あえて~する、思い切って~する」という慣用句だ。

 ここでのloveは具体的には作曲への愛情を指している。Led by fear、すなわち30歳までに傑作を書かなければ、というプレッシャーに負けるか、作曲への愛に導かれるかという選択は、この映画の重要なテーマの1つだ。

■A great song should sound great without any instruments.

 ラーソンは8年近くかけて完成したディストピア・ミュージカル『Superbia』を、プレイライツ・ホライゾンズ劇場のワークショップで上演しようとしている。

 ワークショップにロック・バンドが必要だというラーソン。彼に対して、劇場主のアイラ・ワイツマンは「素晴らしい歌は楽器なしでも素晴らしくなくては」と応える。

 このセリフでは、withoutがanyを伴っていることに注意されたい。Withoutだけでも「~ぬきで」という意味になるが、anyを付け加えることで否定が強調されている。

■I could get used to this. I could get paid for this.

 バンドを雇う資金を稼ぐため、ラーソンは幼なじみが勤務する広告代理店のフォーカス・グループに参加する。

 普段から歌詞を考えているラーソンは、すぐに気の利いたキャッチコピーを考えて担当者は大喜び。ラーソンも「この仕事も悪くない、給料ももらえるし」と作曲の道を断念する誘惑に駆られた。

 Get used toは「~に慣れる、なじむ」という意味のイディオム。I could get used to it/thisは、「これは良い」と慣れる対象が望ましい場合でも、「これでも悪くない」と望ましくない場合でも、両方の意味で使える。

■You just keep throwing them against the wall and hoping against hope that eventually, something sticks.

 ミュージカル『Superbia』のワークショップは大好評だったが、儲からないということで上演してくれる劇場は見つからなかった。

 「これからどうすれば良いのか」と途方に暮れるラーソンに、ベテラン・エージェントのローザ・スティーヴンスは「曲を書き続けるのよ」とアドバイスする。

 このセリフではhope against hope「見込みのない希望を持ち続ける」という慣用句を覚えておきたい。続くthat節のsomething sticksの動詞stickは、「記憶に残る」という意味である。

 このアドバイスにローザは「次は、自分の知っていることを書いたら」と付け加えた。この言葉が、ラーソンの次のミュージカル『Tick, tick... BOOM!』誕生のきっかけとなるのである。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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