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「千載一遇のチャンス」などと示し合わせたわけではないだろう。しかし、前週末12日にピークを通過した決算発表では、資源価格や素材価格の上昇を要因に業績を上方修正した銘柄が相次いだ。業績の下方修正を余儀なくされた銘柄とは天国と地獄の差である。[写真拡大]
【日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部】
「千載一遇のチャンス」などと示し合わせたわけではないだろう。しかし、前週末12日にピークを通過した決算発表では、資源価格や素材価格の上昇を要因に業績を上方修正した銘柄が相次いだ。業績の下方修正を余儀なくされた銘柄とは天国と地獄の差である。資源価格や素材価格は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染爆発)による供給制約やサプライチェーンの輸送障害問題、さらにカーボン・ニュートラルへの環境対応などを背景に上昇しており、まさかそこに悪乗りして「千載一遇のチャンス」とばかり便乗値上が刷り込まれ、業績を上方修正させたとは想定されないということである。
これが、第1次石油危機が発生した1974年は、まったく様相が異なった。湾岸産油国が、第4次中東戦争の勃発とともに原油公示価格を相次いで値上げしたことに合わせて石油元売り各社が製品価格是正の好機、「千載一遇のチャンス」とばかりに値上げを指示し、各社の社長が、国会に招致され責任を追及されるなどの吊るし上げに遭った。
このときには、消費者物価の上昇率は4%、65%どころか「狂乱物価」となり、トイレットペーパーや洗剤もスーパーの陳列棚から姿を消し、駆け込み需要や買い占め騒ぎも同時に起こっている。日銀は、インフレ退治に相次いで公定歩合を引き上げ、1974年の経済成長率は戦後初めてマイナスとなり、高度経済成長は終わりを迎えた。
これは、市況上昇が実需を背景にしているのか、仮需が大きなウエートを占めているのかによって金融当局の政策対応も異なってくることを意味している。いまFRB(米準備制度理事会)は、物価上昇をやや長期化しているものの一過性と認識しているが、この認識を上回るほどの物価水準が続けばインフレを抑え込む政策金利の引き上げの前倒しに踏み込まざるを得ない。各国中央銀行の超金融緩和策も政策変更され、マーケットに溢れ出ていたバブル・マネーは絞り込まれ、資源価格・素材価格にも影響が及ぶことになる。ただ金融政策の転換や戦略備蓄放出の供給政策によっても、原油価格や資源価格の上昇を抑え込めるかは未知数であり、問題がさらに世界の金融マーケットに深刻な影響を与える可能性も残る。
日本でも、ガソリン価格上昇がコロナ禍から立ち上がりかけているサプライチェーン問題に再びカゲを落とし、軽油の上昇や食用油、マーガリン、醤油、豆腐、コーヒー、和洋菓子などの値上げラッシュが家計を直撃しようとしている。不況下の物価高の「スタグフレーション」は願い下げだが、発足したばかりの第2次岸田内閣は、年末・年始の最消費需要期を迎え早くも物価対策の正念場に差し掛かるかもしれない。
金銭哲学では「デフレはカネ、インフレはモノ」の鉄則、セレクト投資のセオリーを教えている。インフレ時は、モノの値段が上昇するとともにカネの価値が相対的に減価するための「換物運動」、「モノ投資」が資産防衛対策として推奨されている。デフレ時のカネ選好の「換金運動」とは真逆である。そこで今週の当コラムでは、早回しにモノの代替資産とされる株式への「換物投資」を選択し、なかでも代表銘柄として市況関連の3セクター株に注目することとした。木材関連株、鋼材関連株、さらに究極の「インフレヘッジ(回避)」資産とされる金価格関連株で、いずれも今回の決算発表では業績の上方修正組が目立ち、株価も割安水準にある。
木材関連株は、今週17日に発表予定の10月の米住宅着工件数の動向次第では今年春先の「ウッドショック」も連想され、鋼材関連株も、バイデン政権の1兆ドル規模のインフラ投資法案の恩恵を享受できる追い風もある。すでに動意付いている関連株もあり、「千載一遇のチャンス」、あるいは「千載二遇」、「千載三遇」も期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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