ユニコーン予備軍企業:ユニファが2021年グッドデザイン賞を受賞した意義

2021年10月29日 08:25

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(画像: ユニファの発表資料より)

(画像: ユニファの発表資料より)[写真拡大]

 6月7日の企業・産業欄に『ユニコーン企業予備軍:ユニファは上場への道を着実に進んでいる』と題する原稿を投稿した。日経新聞が選定する、いわゆるユニコーン企業の1社。「テクノロジーの力で、保育・子育てに関する課題を解消する」をミッションに、2013年に現社長の土岐泰之氏が設立。

【こちらも】ユニコーン企業予備軍:ユニファは上場への道を着実に進んでいる

 開発し保育園に導入されたシステムは数多い。そして1つ1つが実に妙味深い。HPで確認することを、是非にも勧めたい。6月7日付けの記事はそんなユニファの「第一生命をはじめ内外の投資家8社から第三者割当増資で40億円の資金を調達」という報に接し、取材・投稿したものだった。

 今回の記事作成は10月21日amに送信されてきた『2021年のグッドデザイン賞(通称:Gマーク制度)にスマート保育園が、5800以上の審査対象の中からTOP100にランクイン。更にその中からビジネスモデルを評価された特別賞(グッドフォーカス賞)を受賞』と題するニュースリリースが、「取材を」と思うキッカケだった。その主な理由は以下の点に尽きる。

★Gマーク制度の前身は1957年に当時の通産省が創設した、「グッドデザイン商品認定制度」。58年にデザイン家として知られていた故亀倉雄策氏により、今日に伝わる「G」マークがデザインされた。それを継承する形で1998年に(新)スタートしたのが、(財)日本産業デザイン振興会のGマーク制度。

 歴史はダテではない。Gマーク制度を受賞した企業を調べてもらえば、頷ける。かつ、その対象が「個商品」「個プロダクト」にとどまらず「(トータルソリューション)システム」の領域に及んだ点が「時流」を反映していると痛感した。

 ユニファの広報担当者は「保育というマターでは初の受賞か」という問い合わせに、こう答えを返してきた。「保育施設などの受賞歴はある。保育園用の単体プロダクトが・・・というケースもあるようだ。が、トータルソリューションでの提供が対象となったのは当社が初めて」。

 ちなみに担当審査委員(ナカムラケンタ氏・井上裕太氏・田中みゆき氏・西田司氏・廣田尚子氏)は、ユニファのソリューションシステムをこう評価している。

 「保育園などの教育施設では慢性的な人員不測の為、保育者の業務負荷が高まっており組織を持続的なものにすることが難しくなっている。そのしわ寄せは子供に向かうのであり、痛ましい事件が増えているではないか。テクノロジーの進化によって人の役割がなくなることはなく、むしろ本当に必要なところに向かっていくと考える。(ユニファの)スマート保育園○Rはまさに先進的事例であり、同様の考えが他の分野にも広がって欲しい」。

 周知の通り「SDGs」では、「ジェンダー平等の実現」が掲げられている。残念ながらというより、恥ずかしながらと言うべきだろう。ジェンダーギャップ指数2021で日本は世界120位。G7で最下位。保育士の有効求人倍率は約4倍と、全職種平均の2.5倍以上。OECDでは「日本の保育士の労働時間は週50.4時間で調査対象国の中で最長」としている。

 「保育者不足」。解消する為には待遇問題もあろうがまずは、保育士の過酷労働への対応が必須と言える。為にはシステム化徹底による保育士の「負荷軽減」は避けて通れまい。

 その意味でも今回のユニファの受賞は、意義が高い。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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