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セブンイレブンが「スマホレジ」システムを導入、万引き対策は万全か?
日経新聞の報道によると、セブンイレブン・ジャパンは、21年度中にスマホレジのシステムを立ち上げ、22年春を目途に東京・大阪の直営店で「スマホレジ」を開始することを決めたという。その後はオーナーの希望に応じて加盟店を対象に拡大する方針だ。
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日本でスマホレジを開始するためのノウハウは、同社のグループ会社が運営する米国の店舗3000店で導入されているスマホレジのノウハウが活用される。米国では22年度中には約8000店に拡大し、将来的には1万3000店の全店にスマホレジを展開する計画だ。
スマホレジを利用するためには、利用者が予め自分のスマホに専用のアプリをダウンロードしておく必要がある。公共料金の支払いや、年齢確認が欠かせない酒類やたばこの支払いは有人のレジを使う。
入店の際にそのアプリで店舗側が掲示してあるQRコードを読み取る。欲しい商品のバーコードを都度スマホで読み取る。欲しいものが揃ったら、合計の金額を確認してアプリに支払いを指示すれば、登録済みの電子マネーやクレジットカードで決済される。
利用者は店舗内がどんなに混雑していても、公共料金や酒・たばこ等の購入がない限り会計を待つ行列に並ぶ必要がない。
決済システムの開発に関わる投資はセブンイレブンの本部が負担するので、各店舗での投資が不要だというところが有難いところだ。加えて、人手不足が深刻化する中でレジ業務の負担を軽減させて、商品の補充・陳列業務や25年度までにほとんど全店で導入される宅配サービスなどへ労力を振り向けることが可能になり、総合的な人件費負担が軽減されることになる。
「スマホレジ」のビジネスモデルに対するオーナーの関心は、万引き対策がどの程度織り込まれているかということだろう。「スマホレジ」の導入投資が本部負担であっても、日々の万引きによる損失は今までも加盟店の大きな悩みであった。万引きが容易になりそうな「スマホレジ」で、予想通り万引きが増加してしまっては身も蓋もない。オーナーが決断を躊躇する悩ましいポイントだろう。
グループ会社が米国で蓄積したノウハウに、セブンイレブンが自信を得ていることは窺われるが、他社の先行事例や万引きという物品販売の古典的な悩みが拡大するようでは、本部の思惑先行の誹り(そしり)は免れない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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