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こんにゃく芋の成分がアルツハイマー病の予防に効果 北大の研究
今回の研究の概要。(画像: 北海道大学の発表資料より)[写真拡大]
日本の認知症患者のうち約60%を占めるのがアルツハイマー病だ。アルツハイマー病の主な原因の1つとしてアミロイドβというタンパク質が脳に蓄積することが知られている。北海道大学は8月30日、こんにゃく芋から精製した植物グルコシルセラミドを摂取することで、アミロイドβの蓄積を減らせることが判明したと発表。今後、アルツハイマー病の予防や治療に役立っていくことが期待できる。
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この研究は、北海道大学の五十嵐靖之客員教授、門出健次教授、湯山耕平特任准教授らの研究グループが、ダイセルおよび北海道情報大学健康情報科学研究センターと共同で行なったもの。その成果は、30日公開の「薬理と治療」に掲載された。
高齢化が進む中、認知症患者は増えてきている。その認知症患者のうち60%以上がアルツハイマー病だ。アルツハイマー病は進行性の病気で、記憶と思考が徐々に失われていく。この病気は、本人だけでなく介護をする周りの人々にも大きな影響を与える疾患だ。進行を遅らせる薬による治療が現在行なわれているが、進行を止めたり予防したりすることはまだ難しい状況だ。
アルツハイマー病の原因の1つとして、アミロイドβが知られている。この物質は脳内のタンパク質を分解した時にできる小さなタンパク質だ。正常に分解された時には悪さをしないが、分解の異常によって毒性を持つ排出されにくいものができると脳に蓄積し、脳細胞を破壊していく。
研究グループはこれまで、こんにゃく芋から精製した植物グルコシルセラミドについて研究を行ってきた。アルツハイマー病のモデルマウスに、この植物グルコシルセラミドを経口投与したところ、アミロイドβを除去する細胞分泌物が脳内に増加。そして、脳内のアミロイドβが減少し、沈着も減ったという結果を得ていた。
今回研究グループは、こんにゃくグリコシルセラミドが人間でどのように働くかを、60歳から80歳までの20名の被験者について検討を行なった。20名のうち10名にプラセボ食品を、10名にこんにゃくグルコシルセラミドを含む食品を24週間食べてもらった。0週目、12週目、24週目に、アミロイドβがどのくらい脳に蓄積しているかを調査。
その結果、こんにゃくグルコシルセラミドを食べていたグループでアミロイドβの蓄積が減少。さらに、もともとアミロイドβの蓄積が少ない人で、アミロイドβ減少効果は大きく出ていた。つまり、こんにゃくグルコシルセラミドを継続的に摂取することで、アミロイドβの蓄積量が減少し、その効果は初期である方が高いということがわかった。
今回使用されたこんにゃくグルコシルセラミドは、こんにゃくを作る過程で破棄される部分である飛び粉に含まれている成分だ。これまでは皮膚の保湿やバリア機能を高める機能性食品の素材として使われてきていた。本来なら捨てられる部分だった成分だが、今後は、アルツハイマー病の予防や治療に役立っていくことに期待したい。(記事:室園美映子・記事一覧を見る)
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