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豊富な医療資源を活用出来ず、「医療崩壊」に直面してきた日本の無残!
豊富な医療資源がある筈の日本で、「医療崩壊」の危機が叫ばれて久しい。当初は世間の耳目を集めようとするマスコミ特有の、煽りムードが漂っていた。
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同じフレーズでは重みがないと考えたのか、日本医師会の中川俊夫会長が「このままでは医療壊滅だ」と更にトーンを上げて、注目を集める挙に出たのは昨年のことだ。医療の元締めと目されるような立場にありながら、対案もなしに危機を煽る姿勢に疑問を感じた人は少なくないだろう。
新型コロナ対策の難しい所は、感染防止と経済活動をバランスよく進めることだ。単純に感染防止だけに的を絞るのであれば、中国のように「有無を言わせず都市封鎖」を強行する発想がある。そんな果断な対策を講じた中国でも感染の再拡大が伝えられているから、新型コロナウイルスを絶滅させることは至難と考えられている。
日本でもロックダウンの必要性を訴える声が聞こえ始めて来た。但し、現在の日本の法制下で問答無用の「ロックダウン」を実現するために新たな法整備を進めるのには、時間も社会的な合意も足りないと言われる。
日本の医療を危機に至らしめている原因が、民間の開業医が新型コロナの治療に後ろ向きなためであることは、今回のコロナ禍で周知されるようになった。日本医師会を構成する主体が、民間の開業医であることも今や常識だ。
公立病院には都道府県知事の「指示」が可能なため、当初から現在まで、新型コロナの治療は公立病院の多大な負担のもとに行われていた。都道府県知事は民間の医療機関に「協力」を要請することしか出来ない歯痒さを感じ、日本医師会も地域の医師会も「開業医や診療所は役割分担で地域医療を支える」という詭弁を弄して新型コロナの治療には距離を置いて来た。
2月に改正感染症法が成立されたのは、開業医を新型コロナに関わらせるために他ならない。改正したことで、厚労大臣や都道府県知事が求めた協力に「正当な理由なく従わない」場合には、医療機関名を公表することが可能になった。ペナルティが「公表」に止まるのは迫力に欠けるという見方もあるが、地域の開業医にとって強烈なインパクトを持ったようだ。
13日に行われた定例会見で、東京都医師会の尾崎治夫会長は、都内全域で自宅療養者や自宅待機者を、「地域医師会、往診専門医、在宅専門診療所、訪問看護」などが24時間で見守り体制を導入すると発表した。受け止め方は様々だろうが、「やっと」と感じた人は少なくないだろう。
17日の国会では、西村経済再生相が「プレハブやテントでも対応できるように関係自治体と取り組んでいく」と答弁した。
18日には関西経済連合会が、体育館などを野戦病院のように臨時の医療施設として開設すべきだという提言をまとめた。
遅ればせながら日本医師会の中川俊夫会長は同日の会見で、流れに便乗するかのように「イベント会場、体育館などを医療提供の場所にする」ことを提案している。
不作為とも感じられた開業医(少数だが奮闘している開業医はもちろん存在する)が、社会の批判の高まりと法の強制力に引っ張り出された形だが、問題は適切に運用させることだ。
不安を感じながら在宅療養をしている人や、中等症と重症の狭間で入院機会に恵まれない人が早期に解消されて、はじめて医師会の方針転換が意味を持つ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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