NYの視点:新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が消費に影響

2021年8月18日 07:31

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記事提供元:フィスコ


*07:31JST NYの視点:新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が消費に影響
商務省が発表した7月小売売上高は前月比−1.1%となった。6月+0.7%から伸びは再びマイナスに落ち込んだ。予想も下回った。ガソリンスタンドや外食の売り上げが伸びた一方、自動車・自動車部品、衣料品やスポーツ用品の売り上げが減少。

変動の激しい自動車を除いた7月小売売上高も前月比−0.4%と、6月+1.6%から予想外のマイナスに落ち込んだ。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車・建材・給油を除いたコントロールグループと呼ばれる7月小売売上高は前月比−1.0%。伸びは6月+1.4%からマイナスに落ち込み、下落率は予想のほぼ4倍。7−9月GDPの成長が抑制される可能性を示唆した。

政府支援により押し上げられた需要が一段落したほかパウエルFRB議長も警戒していた新型コロナウイルスのデルタ変異株流行で、消費者マインドが再び悪化。再開し始めた経済活動が停止される可能性は少ないものの、ペースが鈍化する可能性は残る。様々な企業が本年度のオフィス復帰の計画を先伸ばすなどの処置をとっている。米国の入国規制も解除されないまま。旅行や外食などに影響を与え始めている。

ゴールドマンサックスは米国経済の下半期の成長見通しを引き下げ。パウエル議長は前回の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見などで、下半期の回復が非常に力強いものになると言及していたが、今後、見通しを引き下げる可能性もある。そうなると、緩和縮小の時期も先送りされる可能性もある。早くて9月の緩和縮小計画発表の思惑も強まる中、果たして年内の縮小開始が可能になるかどうかが今後注目となる。《FA》

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